ESG投資の手法・投資事例
◆ 当社のサステナブル投資やスチュワードシップ活動に関するより詳細な取組みについては「責任投資レポート」をご覧ください。
サステナブル投資の手法
当社のサステナブル投資については、下記の項目を中心に取り組んでいます。
ESGインテグレーション
当社ではすべての運用資産に対し、財務情報に加えESG要素を考慮する「ESGインテグレーション」を導入しています。投融資を行うにあたり、各資産の特性を踏まえた方法により、投融資先のESGに対する取り組みを総合的に評価し、意思決定に組み込んでいます。
また、ポートフォリオ全体および各投融資先の温室効果ガス排出量を算出・分析し、排出量の多いセクターについて排出量削減に向けた投融資先とのエンゲージメント(目的を持った対話)および投資判断に活用します。
なお、当社はESG課題の解決や持続可能な社会を実現すべく、ネガティブ・スクリーニングの基準を設けています。
自家運用
国債・準国債
- 投資先の信用力評価プロセスにおいて、ESG要素を織り込んで評価します。
- 投資判断時およびモニタリング時に、ESG評価機関のスコアを参考に、投資先のESG要素を評価した上で、投資を検討します。
- ESGテーマ投資を行う際には、資金使途や実行可能性を確認の上、広くSDGsの目標達成や課題解決に貢献できるプロジェクトに投資を行います。
- 環境・社会的課題解決に貢献することを意図して投資を行ったESG債について、インパクト評価を行います。
- インパクト評価への取り組みについては、責任投資レポートに掲載しています。
社債
- 投資先の信用力評価プロセスにおいて、ESG要素を織り込んで評価します。
- 投資判断時およびモニタリング時に、ESG評価機関のスコアを参考に、投資先のESG要素を評価した上で、投資を検討します。
- 温室効果ガス排出量削減の取り組みなど、投資先企業の気候変動対応を評価し投資判断の際に考慮します。
- 投資先企業等との対話を行い、対話で得た情報も踏まえESGの取り組み状況を評価します。
- ESGテーマ投資を行う際には、資金使途や実行可能性を確認の上、広くSDGsの目標達成や課題解決に貢献できるプロジェクトに投資を行います。
国内地方債・融資
- ESG要素を考慮した上で、投融資先および対話先の選定を実施します。
- 具体的には「ゼロカーボンシティ(※1)」の宣言状況および「SDGs未来都市(※2)」の認定状況など、ESGに対する地方自治体の取り組みを定期的に確認した上で、投融資先および対話先の選定を実施します。
- 投融資先である地方自治体とは定期的に対話を行い、対話を通じて得られた情報も踏まえ、ESGの取り組み状況を評価します。
- また、地域社会の持続的な成長への貢献を目的としてSDGs債への投資を行います。
- 「2050年に温室効果ガスの排出量又はCO2(二酸化炭素)を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが又は地方自治体として公表した地方自治体」を「ゼロカーボンシティ」として、環境省が公表。
- SDGsの達成に向け、優れた取り組みを提案する地方自治体を「SDGs未来都市」として、内閣府が選定。
プロジェクトファイナンス
- 投融資先の信用力評価プロセスにおいて、ESG要素を織り込んで評価します。
- 個別の案件審査時に環境への影響等を確認し、投融資判断を行います。
- CO2を多く排出し気候変動への影響が懸念される石炭火力発電に係る国内外の新規のプロジェクトファイナンスへの投資は行いません。
株式
- 当社独自に構築したESGスコア体系により、株式ポートフォリオを評価します。
- ESGスコアの作成方法:
環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の3つの要素ごとに将来キャッシュフローや資本コストに影響する項目を抽出して評価します。 - 「ESGスコア」を考慮して以下の2つのファンドを運用しています。
<配当ファンド> | 財務情報に加えて、企業のESGに対する取り組みを総合的に評価し、中長期的に企業価値の向上が期待できる高配当企業に投資 |
<成長ファンド> | 財務情報を踏まえながら、SDGsの目標達成や課題解決に資する企業の技術力や事業基盤の「業績への貢献度」や「成長性」を評価し、ESGを成長機会として捉えている企業に投資 |
- 株式のESGインテグレーションの取り組みについては、責任投資レポートに掲載しています。
外部委託運用
- 運用受託機関の選定時およびモニタリング時などに、ESG投資への取り組み(ESGに関する方針や態勢、具体的なESG投資の取り組み手法等)を確認し、投資判断において考慮します。
- 外部委託運用においても、投資判断に際し、投資対象となるファンドの商品性等を考慮した上で、ネガティブ・スクリーニングやその他の特定の事業等を除外するための取り組みの状況が、当社のネガティブ・スクリーニング基準と照らし合わせて適切であるか確認します。
エンゲージメント・株主議決権行使
当社は、投資先の状況を的確に把握し、投資先との「目的を持った対話」(エンゲージメント)を行っています。投資先とのリレーション構築を図りつつ、財務情報のみならず、サステナビリティ要素を含む非財務情報の開示の充実を求め、サステナビリティ課題に対する取り組みなどの確認に努めています。
また、外部委託運用においては運用受託機関との間で、定期的にスチュワードシップ活動に関するミーティングを実施し、運用受託機関と投資先企業におけるエンゲージメントの取り組み状況を確認するなど、資産特性に応じた対応をしています。
株主議決権行使については、サステナビリティ要素を含む非財務情報や対話等の状況なども考慮し、株主議決権行使方針に基づき、適切に実施しています。
なお、当社は日本版スチュワードシップ・コードを受け入れ、これに係る当社方針を定めています。
詳細は「スチュワードシップ活動」をご覧ください。
サステナビリティ・テーマ投資、インパクト投資
当社は、“あたたかさ”を軸とした、当社重点取り組みテーマ(「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」)に基づいたESGテーマ投資、インパクト投資(※)を積極的に推進します。資金使途や実行可能性を確認のうえ、広くSDGsの目標達成や課題解決に貢献できるプロジェクトに投資しています。
投資の実績は「主なサステナブル投資事例」をご覧ください。
なお、インパクト投資を推進するためインパクト創出につながる定量指標をKPIとして設定できるなど一定の条件を満たした案件を「インパクト”K”プロジェクト」として社内認定するなど、当社独自のフレームワークを構築しています。
インパクト“K”プロジェクトについては「インパクト“K”プロジェクトの推進」をご覧ください。
- インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的および環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。
ネガティブ・スクリーニング
当社は、サステナビリティ課題の解決や持続可能な社会を実現すべく、以下のとおり取り組んでいます。
- 非人道的兵器(クラスター爆弾、対人地雷、生物兵器、化学兵器)は、無差別に甚大な被害を与えることから、それらの兵器を製造する企業への投資を行いません。
- 石炭火力発電はCO₂を多く排出し、気候変動への影響が懸念されることから、発電効率にかかわらず、これに係る、国内外の新規のプロジェクトファイナンスへの投資を行いません。
インパクト“K”プロジェクトの推進
当社は、かんぽ生命の重点取り組みテーマを考慮したインパクト投資(※1)を積極的に推進しています。
特に、インパクト志向の投融資を拡大するため、かんぽ生命が独自に定めるインパクト投資の認証フレームワークである「インパクト“K”プロジェクト」を立ち上げました。お客さまに対する受託者責任を果たすべく、投資を委託する運用会社のインパクト投資体制や戦略、実績、投資先の選定・管理状況、IMM(※2)などを精査したうえで、インパクト投資を推進していきます。
<インパクト“K”プロジェクト認証案件・例>
- 待機児童を多く抱える都市部に優良な保育園運営企業を誘致するファンドへの投資(2022年3月)
- 社会的インパクトの創出に積極的に取り組む国内企業に投資し、社会的リターンと経済的リターンの両立を目指すファンドへの投資(2022年5月)
- 社会課題を解決する企業に投資し、人々のウェルビーイングが高く、環境とも共存する持続可能な日本社会の実現を目指すファンドへの投資(2022年7月)
- ウェルネス・エクイティ実現のために、レバレッジ・ポイントと考える「ウェルネス・リテラシーの向上」と「ソーシャル・キャピタルの充実」の実現を目指すファンドへの投資(2023年8月)
- アカデミア発の医療・健康領域、デジタル・テクノロジー領域を投資対象とし、インパクト投資を通じて、社会的リターンと経済的リターンの両立を目指すファンドへの投資(2023年10月)
本プロジェクトに関する認証フローや投資事例については「責任投資レポート」をご覧ください。
- インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的および環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。
- Impact Measurement and Managementの略。インパクトの計測と管理を示します。
産学連携の取り組み
当社は、大学における教育体制や高度な研究成果の発展に寄与していくことが、多様な社会的課題解決への貢献に有益と考え、資産運用領域における産学連携に取り組んでいます。
大学との連携・協力の体制の構築 | アカデミアの持つ革新的な技術開発や事業に対する投資推進に向け、連携・協力のための覚書を締結しました。現在、インパクト投資領域を中心に、大学の研究成果を活用したベンチャー企業への資金供給などについて検討を進めています。
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大学での講義の実施 | 金融人材の育成に貢献するため、大学においてサステナブル投資についての講義を行っています。 取り組みの詳細は、「社会貢献活動」をご覧ください。 |
また、大学法人が教育・研究の発展を目的として発行したサステナビリティ・ボンド、ソーシャルボンドへ投資しています。
2023年5月 | 東海国立大学機構 | サステナビリティボンド「東海機構コモンズ債」 |
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2023年1月 | 東北大学 | サステナビリティボンド「東北大学みらい創造債」 |
2022年12月 | 東京工業大学 | サステナビリティボンド「東京工業大学つばめ債」 |
2020年10月 | 東京大学 | ソーシャルボンド「東京大学FSI債」 |
主なサステナブル投資事例
当社は、サステナビリティ要素を考慮したサステナビリティ・テーマ投資を行っています。資金使途や実行可能性が限定されていることを確認のうえ、広くSDGsの目標達成や課題解決に貢献できるプロジェクトに投資しています。
サステナビリティ関連テーマ債への投資
投資事例 | 関連する主なSDGs |
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Community of Madrid ©欧州投資銀行 |
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「フィード・アフリカ(アフリカ大陸の食料増産)」をテーマとするソーシャルボンドへの投資(2018年5月) ©アフリカ開発銀行 |
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「世界の女性と子供たちの保健への支援」の重要性に焦点をあてたサステナブル・ディベロップメント・ボンドへの投資(2018年5月) ©World Bank |
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「ジェンダーの平等」をテーマとするソーシャルボンドへの投資(2018年5月) ©アジア開発銀行 |
再生可能エネルギー事業への投資
投資事例 | 関連する主なSDGs |
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太陽光発電、風力発電およびバイオマス発電等の再生可能エネルギー事業への投融資(2017年より開始) |
ファンドへの投資
投資事例 | 関連する主なSDGs |
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ウェルネス・エクイティ実現のために、レバレッジ・ポイントと考える「ウェルネス・リテラシーの向上」と「ソーシャル・キャピタルの充実」の実現を目指すファンドへの投資(2023年8月) |
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社会課題を解決する企業に投資し、人々のウェルビーイングが高く、環境とも共存する持続可能な日本社会の実現を目指すファンドへの投資(2022年7月) |
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地方公共団体向け融資(旧簡易生命保険資金によるもの)
投資事例 | 関連する主なSDGs |
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旧簡易生命保険資産による地方公共団体向けの融資は、郵政民営化に伴い「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」(以下「機構」という。)に承継された政策融資です。かんぽ生命は、機構と業務委託契約を締結し、その債権管理業務を受託しています。2022年3月末時点の融資先は約1,800団体、融資額は約3兆円で、その9割以上が下水道事業や学校整備、公営住宅建設など個別の使途に紐付いており、各施設の活用状況に関する調査を毎年実施するなど、地域社会のインフラ整備および住民福祉の増進に寄与しています。 |
サステナビリティ