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保険契約者等の保護の取組み

審査結果の概要

img査定審査会の概要 img審査の請求の取扱状況 img審査結果の概要

2011年度審査手続終了分

【61】傷害保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、不慮の事故による頸椎捻挫によって脊柱に著しい運動障害が残ったため傷害保険金を請求したところ、傷害保険金の支払事由に該当しないとしてその支払を断られたが、納得できない。よって、傷害保険金の支払を求める。
審査結果の
概要
特約約款第22条及び別表第2の規定によれば、頸部の運動障害に関して傷害保険金が支払われるのは、「不慮の事故等により傷害を受け、その傷害を直接の原因として被害の日から180日以内に」「脊柱に・・・著しい運動障害を残すもの」となり、「その障害の状態が固定し、かつ、その回復の見込みが全くないことを医学的に認められたもの」に該当することとなったときであり、その「脊柱に・・・著しい運動障害を残すもの」とは、「脊柱の自動運動の範囲が正常の場合の2分の1以下に制限されたもの」であるところ、本件の場合、関係資料によると、被保険者は、被害の日から180日以内に特約約款別表第2の身体障害等級表に掲げるいずれかの身体障害の状態に該当することとなったとは認められないから、不慮の事故等との間の因果関係の有無等について判断するまでもなく、傷害保険金の支払いを行うべきとは認められない。よって請求人の請求は認められない。

【62】精神的損害を理由とする損害賠償請求

ご請求の
内容
本件保険契約は、契約締結の際の職員による説明に偽りがあったことから無効の処理がなされたが、これに伴う遅延利息の支払いは2年間の前払い保険料の運用としては当然であり、慰謝料としては少額に過ぎるため納得できない。本件保険契約の無効申出から審査請求に至るまでの、精神的なストレスによる身体的異常があったこと等から300万円の慰謝料の支払いを求める。
審査結果の
概要
請求人から提出された文書、保険募集時の説明資料、及び会社の聴取調査資料によれば、請求人には保険契約の内容や解約時の還付金等についての誤認があったものの、当時の日本郵政公社が、欺罔行為を用いて請求人を本件保険契約締結に至らしめたとまでは認められないほか、本件保険契約の前納保険料について、会社が不法行為による損害賠償責任を負わなければならない事情は認められない。また、本件保険契約の無効処理に伴い、請求人の損失(本件保険契約の前納保険料)は、全額について回復されており、前納保険料の返還に係る遅延利息については、その請求がされた日(請求人から契約無効の申立てのあった日)から、弁済の提供をしたと認められる日(前納保険料と解約還付金等との差額の返還に係る支払通知書を発送した日の2営業日後)までの286日分につき年5分の割合による金員を請求人へ支払済みである。さらに、会社の苦情対応が、請求人の人格権等を侵害する等の著しく不適切な対応であったとは認められず、この点についても会社が不法行為による損害賠償責任を負わなければならない事情は認められない。
したがって、会社が請求人に対し慰謝料を支払うべき理由はないから、請求人の請求は認められない。

【63】傷害保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、不慮の事故を原因とする腰椎捻挫のため傷害保険金を請求したところ、不慮の事故により受けた傷害を直接の原因としたものとは認められないとして、傷害保険金の支払いを謝絶されたが、納得できない。よって、傷害保険金の支払いを求める。
審査結果の
概要
特約約款第22条によれば、被保険者が特約の保険期間中に不慮の事故等により傷害を受け、その傷害を直接の原因として被害の日から180日以内に別表第2の身体障害等級表に掲げる身体障害の状態に該当することとなったときに傷害保険金を支払うこととなるところ、本件の場合、関係資料によると、請求人には、本件事故以前から頚椎・腰椎に変性が存在し、これらの変性が加齢に伴い進行していることが認められるにとどまり、本件事故により、頚椎又は腰椎が急激に損傷したことを窺わせる事実は認められない。また、本件各診断書をもって、請求人の腰椎捻挫(胸腰部脊柱の屈曲度が20度、伸展度10度)が本件事故により受けた傷害を直接の原因とするものと認めることも困難である。
したがって、請求人は、不慮の事故等により受けた傷害を直接の原因として特約約款所定の身体障害の状態に該当することとなったとは認められないから、会社は、請求人に対して、本件保険契約に基づき傷害保険金の支払いをすべきとは認められず、請求人の請求は認められない。

【64】保険金の倍額支払等の可否

ご請求の
内容
被保険者は、食道癌の治療のため入院していた病院の病室ベッドにて、気道にものを詰まらせて窒息死したところ、サービスセンターから、不慮の事故により死亡したものとは認められないとして保険金の倍額支払い及び特約死亡保険金の支払いを謝絶されたが、納得できない。よって、その支払を求める。
審査結果の
概要
不慮の事故等には、急激性・偶発性・外来性が必要であるとされているところ、本件の場合、被保険者の身体状況(末期の食道癌、陳旧性肺結核、高血圧、脳梗塞、発作性心房細動等)や心停止に至った経緯からすると、被保険者は、嘔吐物の誤嚥による窒息、脳梗塞、脳出血等、多くの疾病のいずれかが急激な変化をもたらした、或いは多くの疾病の相互作用があって死亡に至ったと考えざるを得ない。
したがって、被保険者の死亡は、不慮の事故等を直接の原因とするものとは認められないことから、保険金の倍額支払い及び特約死亡保険金の支払いをすべきとは認められず、請求人の請求は認められない。

【65】手術保険金の不足額の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、膀胱癌の診断の下、膀胱生検(2回)を受けたところ、約款別表の90「その他の悪性新生物手術」(倍率20倍)及び94「内視鏡~」(倍率10倍)に該当するとしてそれぞれ手術保険金が支払われたが、悪性腫瘍が認められなかったことを理由として88「悪性新生物摘出術」(40倍)非該当とすることに納得できない。よって、約款別表の88「悪性新生物摘出術」(40倍)に該当するものとして手術保険金の不足額の支払を求める。
審査結果の
概要
被保険者は、膀胱腫瘍(悪性)の疑いがあるとして平成19年4月3日に膀胱生検(以下「手術(1)」という。)を受け、同年10月9日に経尿道的膀胱生検及び経尿道的膀胱腫瘍切除術(以下「手術(2)等」という。)を受けたところ、関係資料によれば、手術(1)については、病理学的検査を目的として、標的組織を一部採取したとされ、その結果、悪性であったことが明らかとなったものであり、また、手術(2)等については、内視鏡を用いて、病理学的検査を目的として、標的組織を一部採取したほか、治療を目的として腫瘍の切除も行われたものであるところ、結果として悪性の所見は認められなかったものであるから、いずれの手術も悪性新生物の治療を目的として悪性新生物を摘出する手術である「88 悪性新生物摘出術」には該当しない。
したがって、会社が請求人に対して手術(1)、手術(2)等のいずれについても、支払倍率40倍の手術保険金の支払いをすべきとは認められず、請求人の請求は認められない。

【66】傷害保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、平成19年2月の不慮の事故を原因として人工股関節置換術を受けたため傷害保険金の支払請求をしたところ、サービスセンターから、傷害保険金の支払事由に該当しないとして支払いを断られたが、納得できない。よって、その支払いを求める。
審査結果の
概要
提出された資料等によれば、股関節部に外傷等の所見は認められず、また、被保険者には臼蓋形成不全の所見が認められることからすると、被保険者は、当該疾病に加齢等の要因が加わって股関節軟骨の変性・磨耗が徐々に進行して右変形性股関節症が生じ、平成19年から平成20年頃に右股関節部に痛みが出現したため投薬治療等を受け、その後、平成21年11月に人工股関節置換術を受けるに至ったと認めるのが相当である。 したがって、被保険者の身体障害の状態は、不慮の事故等を直接の原因とするものとは認められないこと等から、傷害保険金の支払いをすべきとは認められず、請求人の請求は認められない。

【67】契約者配当金の不足額の支払可否等

ご請求の
内容
本件各保険契約(5件)の勧誘の際、郵便局職員から、契約者配当金額について特定の金額が支払われるとの説明を受けた。併せて、そのうちの3件(終身保険)については、高齢になると保険料を払うことができない旨を郵便局職員に伝えていたものである。したがって、本件各保険契約(5件)は、当時説明を受けた金額が契約者配当金として支払われるものであることの確認を求めるとともに、そのうちの3件(終身保険)については、基本契約の保険料払込期間満了後の特約保険料の支払債務がないことの確認を求める。
審査結果の
概要
旧簡易生命保険法及び保険約款によれば、契約者配当金は事前にその金額が決められているものではなく、また、平成5年3月以前に効力が生じた特約で終身保険に付されたものの保険料払込期間は終身である。また、提出された資料等によれば、本件各保険契約の勧誘に際し、郵便局職員が契約者配当金の金額を確約した事実や、基本契約に係る保険料の払込みが完了した後は特約保険料の払込みは不要である旨を説明した事実も認められない。よって、請求人の請求は認められない。

【68】重度障害による死亡保険金等の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、平成12年2月、自宅で首を吊って(本件行為)いるところを発見され、その後、低酸素脳症により入院したところ、サービスセンターから、当該低酸素脳症は被保険者の自傷行為によるものであるとして、重度障害による死亡保険金及び入院保険金の支払いを謝絶されたが、その当時、被保険者が躁病により正常な状態でなかったことは資料上明らかであり納得できない。よって、重度障害による死亡保険金及び入院保険金の支払いを求める。
審査結果の
概要
関係資料によれば、本件行為は、その態様から客観的にみて、少なくとも、その結果として何らかの傷害や疾病の発生を認識・容認した上でのものであると推認できる。また、被保険者は、その当時、躁病に罹患していたところ、関係資料によれば、平成11年12月からの入院中の症状は相当重篤なものであったことが窺われるものの、担当医によれば、平成12年1月の退院時、被保険者の症状はかなり改善し、本件行為について躁病の影響はないとされており、また、被保険者の自傷行為直前の症状・言動や自傷行為の動機等も未だ不明であることからすると、本件行為の当時、被保険者が自由な意思決定能力を喪失等していたとまで認めることは困難である。
したがって、被保険者の低酸素脳症は、被保険者の故意によるものであると認められることから、重度障害による死亡保険金及び入院保険金の支払いをすべきとは認められず、請求人の請求は認められない 。

【69】損害賠償請求

ご請求の
内容
保険契約者兼保険金受取人が死亡した後、保険金受取人の指定をしないまま保険期間が満了したため、簡易生命保険法の規定により、被保険者である請求人が満期保険金等を受領したところ、税務署から贈与税の課税対象であるとの判定を受けたが、請求人は、同意なく一方的に受取人とされたのであり、一時所得の税額と比較して大幅な税負担を強いられたことに納得がいかない。よって、贈与としての課税額と一時所得としての課税額との差額金51万5,100円を損害賠償として支払うべきである。
審査結果の
概要
簡易生命保険法第55条第1項第1号の規定によれば、保険金受取人が死亡し、保険契約者により新たな保険金受取人が指定されないときは、被保険者が満期保険金の保険金受取人となるとされており、同法第31条の規定によれば、保険金受取人が第三者であるときは、その第三者は、当然保険契約の利益を受けるとされているから、本件における満期保険金請求権は、被保険者である請求人の同意の有無にかかわらず、被保険者に帰属することとなる。また、請求人が受領した満期保険金等は、相続税法第5条の規定により、保険料が保険金受取人以外の者によって負担されたものとして、贈与により取得したものとみなされるのであって、請求人が贈与税を賦課されることになった点についても、会社の行為は介在せず、会社には何らの責任もない。
したがって、請求人に対して損害賠償をすべきとは認められず、請求人の請求は認められない。

【70】損害賠償請求

ご請求の
内容
中本件保険契約は、保険契約者である請求人とその妻の2名を保険金受取人として満期を迎えたところ、このように妻に贈与税が発生するような保険契約については、満期前に郵便局の担当者は戸別訪問や電話連絡を行い、契約内容の訂正等説明を行う義務があったにもかかわらず、これを怠った結果、妻の受取分に贈与税が課せられ、一時所得の税額と比較して大幅な税負担を強いられることになった。 よって、妻が支払った贈与税額と諸経費等の合計188万1,200円を損害賠償として支払うべきである。
審査結果の
概要
保険契約に関する課税処分は税法によって一律に定められているものであり、保険契約の内容をなすものではなく、保険会社には課税関係について積極的に説明する義務はない。また、保険金受取人の指定を変更するか否かは、保険契約者自らが判断すべき事柄である。さらに、郵便局が保険期間満了前に戸別訪問等を行わなかったことについても、戸別訪問等はあくまでも契約内容の確認を促すためのものであり、顧客に対するサービスの一環として行っているものと解せられることから、それを行わなかったとしても会社が損害賠償責任を負うべきとは認められない。
したがって、請求人に対して損害賠償をすべきとは認められず、請求人の請求は認められない。

【71】契約者貸付の効力

ご請求の
内容
本件保険契約に係る契約者貸付(本件貸付)については、請求外Aが代理人と称して請求人に無断で行ったものである。よって、本件貸付が無効であることの確認を求める。
審査結果の
概要
民法第478条の規定によれば、債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有するとされており、また、同条の規定は、債権者の代理人と称して債権を行使する者についても適用があると解され、さらに、生命保険契約における契約者貸付についても類推適用があると解されている。
本件の場合、関係資料によると、請求外Aを請求人から委任を受けた代理人Bであると信じて本件貸付を行ったことにつき、会社は善意であり、かつ過失はなかったと認められる。
したがって、本件貸付は、その効力を有すると解せられるから、請求人の請求は認められない。

【72】~【74】契約者貸付の効力

ご請求の
内容
上記【71】と同様。
審査結果の
概要
上記【71】と同様。

【75】満期保険金の支払の可否

ご請求の
内容
保険契約者兼保険金受取人であるAが平成16年4月12日に死亡し、保険金受取人の指定をしないまま、平成21年7月26日に本件保険契約が満期を迎えたところ、請求人と請求外Bとの間で争われたAの遺産分割に係る審判事件の高裁決定(平成23年3月30日確定)により、本件保険契約についての権利は、請求人が取得するとされている。
よって、本件保険契約に係る満期保険金を請求人に支払うべきである。
審査結果の
概要
簡易生命保険法第55条第1項第1号の規定によれば、保険金受取人が死亡し、保険契約者により新たな保険金受取人が指定されないときは、被保険者が満期保険金の保険金受取人となるとされている。また、同法第61条第1項、同条第3項及び第28条第1項の規定によれば、保険金受取人の指定は保険金の支払事由が発生する前(満期保険金であれば、保険期間の満了前)にされなければならず、さらに、第三者を被保険者とする保険契約の場合は被保険者の同意を要するものとされている。 本件の場合、高裁決定により保険契約者の地位を承継することとなる請求人が、保険期間の満了前に保険金受取人を自己に指定する意思表示をしたと解する余地があるとしても、その保険金受取人の指定につき、保険期間の満了前に被保険者が同意していることを認めるに足りる資料はない。
したがって、本件保険契約に係る満期保険金の保険金受取人は被保険者であって、請求人であるとは認められないから、請求人の請求は認められない。

【76】傷害保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、9年前に仕事中に足を滑らせて踏ん張ったことを原因として化膿性股関節炎となり、その治療のため、平成16年3月12日に人工股関節置換術を受け、約款所定の身体障害の状態に該当するに至ったことから、傷害保険金の支払請求をしたところ、不慮の事故等により受けた傷害を直接の原因とするものとは認められないとして支払いを断られたが、納得がいかない。よって、傷害保険金を支払うべきである。
審査結果の
概要
関係資料によれば、人工股関節置換術の原因となった傷病名は「左化膿性股関節炎後」、その原因は不詳とされており、請求人が9年前(平成14年8月に該当)に受けたと主張する傷害に係る所見は全くないほか、本件の全資料を調査しても、9年前に傷害を受けたことを証明する資料は見当たらず、仮に9年前である平成14年8月当時に何らかの傷害を受けていたとしても、約款所定の身体障害の状態に該当することとなったのは、平成16年3月12日に施行された本件手術によるのであるから、傷害を受けた日から180日以内に当該身体障害の状態に該当することとなった事実は認められない。
したがって、傷害保険金の支払いをすべきとは認められず、請求人の請求は認められない。

【77】手術保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、平成23年4月26日に胆嚢結石症及び総胆管結石症の治療のため入院((1)入院)し、同月28日に内視鏡的乳頭切開術((1)手術)を受け、また、同年5月3日に胆嚢結石症の治療のため入院((2)入院)し、同月13日に腹腔鏡下胆嚢摘出術((2)手術)を受けたところ、特約約款別表第3に掲げる94に該当する手術(内視鏡による手術)については、1の疾病による入院に係るものである場合、1回の支払いが限度となるとして、(2)手術に係る手術保険金の支払いを謝絶されたが、納得がいかない。
よって、当該手術保険金を支払うべきである。
審査結果の
概要
医学上、胆石とは、胆嚢又は胆管内にて、胆汁から作られた固形物のことをいい、その存在部位により、胆嚢結石、肝内結石、総胆管結石に分類されるが、その形成は同一機序がほとんどであり、また存在する部位も移行していくものであるところ、関係資料によると、これらの一連の入院及び手術は、胆嚢内の結石が総胆管に移行し、痛みが生じたことから(1)入院及び(1)手術に至り、(2)入院では残存した胆石を取り除くために、(2)手術が行われたものと認めるのが相当であるから、(1)入院及び(2)入院はともに胆嚢結石を原因とするものと評価できる。
したがって、(1)入院及び(2)入院は、約款上、1の疾病によるものとなるところ、別表第3に掲げる94に該当する手術(内視鏡による手術)については、1の疾病による入院に係るものである場合、1回の支払いが限度となることから、(1)手術に対して手術保険金を支払っている以上、(2)手術に係る手術保険金を支払うべきとは認められない。
したがって、請求人の請求は認められない。

【78】保険契約の効力

ご請求の
内容
本件保険契約の申込みに際し、被保険者である請求人は、保険契約者である父親に強く言われて保険契約申込書の被保険者欄に署名したものであり、同意していない。よって、本件保険契約が無効であることの確認を求める。
審査結果の
概要
関係資料によれば、被保険者は保険契約申込書の被保険者欄及び告知書に署名していること、受理者は被保険者に対して商品別リーフレットや注意喚起情報を交付して契約内容を説明したとしており、被保険者も「特に重要なお知らせ」に署名していること等からすると、被保険者は本件保険契約に同意していたものと認められ、その同意に際し、契約内容の理解が不十分であった事実や、保険契約者の強迫があった事実は認められない。 したがって、本件保険契約は有効であるから、請求人の請求は認められない。

【79】死亡保険金の全額の支払の可否

ご請求の
内容
保険契約者兼被保険者兼保険金受取人であるAが死亡したところ、遺言書によると、特定の不動産等を除く一切の財産を請求人に相続させるとなっており、同一内容で遺産分割協議書も整っている。よって、本件保険契約に係る死亡保険金の全額を請求人に支払うべきである。
審査結果の
概要
本件の場合、簡易生命保険法第55条の規定により、死亡保険金の支払事由が発生した時点においては、死亡保険金受取人の指定はないものとして、被保険者の遺族(Aの子。請求人を含む4名。)が、それぞれが等しい割合(1/4)で死亡保険金に係る請求権を原始的に取得することとなる。よって、死亡保険金はAの相続財産を構成しないことから、Aの遺言書や遺産分割協議書は、請求人に死亡保険金全額を支払う根拠とはならない。 したがって、会社が請求人に対し死亡保険金の全額を支払うべきとは認められないことから、請求人の請求は認められない。

【80】入院保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、変形性頚椎症の診断の下、平成22年10月4日から平成23年1月18日まで入院(本件入院)したところ、そのうち、平成22年11月15日以降の期間分については、入院期間中に外泊、外出が多いとして入院保険金が支払われなかったが、外泊等は院長の許可を得たものである。
よって、同日以降の期間分についても、入院保険金を支払うべきである。
審査結果の
概要
関係資料によれば、請求人は、理学療法を用いて変形性脊椎症の安静治療に専念することを自ら希望して入院したにもかかわらず、医師からの注意にも反して本件入院中に頻繁に外出及び外泊を繰り返しており、安静な環境で治療に専念していたとは評価できない。 会社は、請求人が変形性脊椎症に罹患していることは事実であり、また、入院診療計画書には、当初、入院期間として約4~6週間とされていたことから、平成22年10月4日から同年11月14日までの期間については入院保険金を支払ったところ、前述の事情を踏まえれば、会社が、当該期間を超える期間分の入院保険金の支払をするべきとは認められない。 したがって、請求人の請求は認められない。

【81】傷害保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、自宅で転倒し、胸腰部に障害が残ったため、傷害保険金の請求をしたところ、脊柱の変形は、転倒以前から症状が認められる等としてその支払いを断られたが納得できない。よって、傷害保険金を支払うべきである。
審査結果の
概要
特約約款第22条第1項の規定によれば、被保険者が特約の保険期間中に不慮の事故等により傷害を受け、その傷害を直接の原因として被害の日から起算して180日以内に別表第1の身体障害等級表に掲げる身体障害の状態になったときに傷害保険金を支払うとされている。
本件の場合、関係資料によれば、被保険者の第12胸椎圧迫骨折は、不慮の事故等を原因とするものとは認められず、また、身体障害の程度及び身体障害の状態の固定の時期についても、特約約款第22条第1項に規定する要件に該当するとは認められない。 したがって、被保険者の身体障害の状態は、傷害保険金を支払うべきものとは認められないことから、請求人の請求は認められない。

【82】損害賠償請求

ご請求の
内容
保険契約者兼保険金受取人Aが死亡し、保険金受取人の指定をしないまま保険期間が終了したため、簡易生命保険法の規定により被保険者Bが満期保険金を受け取ったところ、これによりAの相続人である請求人の相続権が侵害されたことに納得できない。よって、請求人が受け取るべき法定相続分を損害賠償として支払うべきである。
審査結果の
概要
本件の場合、Aがその生前に有していた保険金受取人の地位は、Aの死亡により相続されることなく消滅したものと解される。そして、被保険者Bは、簡易生命保険法の規定により、満期保険金を請求する権利を原始的に取得したものである。したがって、会社がBに対して満期保険金の全額を支払ったことにより、本件保険契約の保険金受取人の権利は全部適法に消滅したものであって、会社が、請求人に対して不法行為責任を負う理由はない。
よって、請求人の請求は認められない。

【83】保険金の倍額支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、転倒による頭部打撲を原因とした急性硬膜下血腫により死亡したところ、会社から疾病を直接の原因とする事故によるものであるとして保険金の倍額支払を断られたが納得できない。よって、保険金の倍額支払いを求める。
審査結果の
概要
関係資料によると、被保険者は、糖尿病による末梢神経障害、並びに全脳萎縮及び脳血管障害による運動機能低下により、自立歩行不能の状態にあった上、認知症の進行により歩行不能な状態にあることを認識できない結果、これまで転倒を繰り返していたものであることから、被保険者の転倒は、糖尿病等による歩行障害と認知症が重なり合って起きたものであり、疾病を直接の原因とするものと認めるのが相当である。
したがって、被保険者の死亡について、保険金の倍額支払いを行うべきとは認められないことから、請求人の請求は認められない。

【84】解約還付金相当額の返還債務の存否

ご請求の
内容
保険契約者であるAは、平成23年3月頃、保険証書の再発行を請求する過程で、本件保険契約の基本契約が解約された扱いになっていることに気付き、その復元を要求したところ、会社から、平成17年4月に誤って基本契約の解約処理をしていたとして、これを取消し、原状回復するとの回答があったが、同時に、解約に伴う還付金をB(Aの父)に対して支払っているとしてその返還を求められた。しかしながら、Bが当該還付金を受領した事実はない。よって、A(請求人)は、当該還付金の返還義務がA自身及びBともにないことの確認を求める。また、B(参加人)は、当該還付金の返還義務がB自身にないことの確認を求める。
注:本件は、当初、Aから審査の請求がされたが、還付金を受領した可能性のあるBからも審査の請求をしてもらい、併合して審議することが、紛争の一回的解決の観点から相当であるとの判断の下、Bにも審査手続への参加を要請したもの。
審査結果の
概要
関係資料によれば、平成17年4月に、A(保険契約者)から、Bを代理人として特約の失効に伴う還付金の支払請求がされたが、当時の日本郵政公社においては、当該支払請求について、Aの同意なく、基本契約の解約及びこれに伴う還付金の支払請求も含むものとして処理され、Bあてにかかる各還付金の支払通知書(1通)が発行されたところ、当該通知書の受領欄にはBの署名押印があり、また、各還付金を分割して受領する手続きは存在していなかったこと等からすると、Bは、特約の失効に伴う還付金と併せて、法律上の原因なく基本契約の解約に伴う還付金をも受領したと認められる。したがって、Aには当該還付金の返還義務はなく、他方Bにはその返還義務があると認められる。したがって、A(請求人)の請求は、Aに当該還付金の返還義務がないことの確認を求める限度で理由があり、その余の請求及びB(参加人)の請求は認められない。
当社の対応 上記の審査結果を受け、Bに対して基本契約の解約に伴う還付金を返還いただくよう、要請しました。

【85】入院保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、薬物を大量に服用して入院したところ、会社から、薬物服用は故意(自殺未遂)によるものであるとして入院保険金の支払いを断られたが、自殺未遂を図ったのはうつ病によるのであるから納得できない。よって、入院保険金の支払いを求める。
審査結果の
概要
特約約款第32条の規定よれば、被保険者が「故意に疾病にかかったとき」は、入院保険金は支払わないとされているところ、ここでの「故意に疾病にかかったとき」については、精神障害中、すなわち自由な意思決定能力を喪失又は著しく減弱した状態でのものは含まれないと解される。
本件の場合、関係資料によると、被保険者は薬物を大量に服用した当時、うつ病に罹患していた可能性が高いものの、その程度を認定することは困難であり、また、自殺未遂の態様からは自らの行動を考えつつ実行していることが窺われること等を考慮すると、請求人が、その当時、自由な意思決定能力を喪失又は著しく減弱した状態にあったと認めることはできない。
したがって、会社は、本件入院について、疾病による入院保険金を支払うべきとは認められないことから、請求人の請求は認められない。
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