保険契約者等の保護の取組み
審査結果の概要
2008年度審査手続終了分
【4】保険契約者の地位の確認の請求
事案の概要等 | 本件保険契約は、保険契約者及び保険金受取人をA、被保険者をB(Aの子)として成立し、その後有効に存続中、保険契約者及び保険金受取人をAからBへ変更する旨を内容とする契約関係者異動の手続き(以下「本件異動」という。)がなされた。 平成18年8月にAは死亡したが、その後、Aの相続人(子)である請求人から、本件異動はAの死亡後になされたものであって、Bが他の相続人である請求人らの同意を得ないままに本件異動を行ったものであるから無効であり、したがって、保険契約者はAの相続人であるとして、審査の請求がなされたもの。 これに対し、当社の担当部署は、本件異動の手続きはAの死亡前になされたものであり、Bが保険契約者を自己に変更することをAに説明し了解を得たと供述していること等を理由に、本件異動はAの意思に基づきBによりなされた有効なものであると主張したもの。 |
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審査結果の 概要 |
提出された証拠資料によれば、本件異動がAの死亡前に行われたことは明らかであるものの、Bの供述からは本件異動がAの意思に基づくものであるとまで認定することは困難である。したがって、本件異動は無効であり、保険契約者はAの相続人であると認められる。 よって、当社の査定は妥当であるとは認められない。 |
当社の対応 | 上記の審査結果を尊重し、本件異動を無効処理する等の対応を行いました。 |
【5】年金保険契約に係る解約還付金の支払請求
ご請求の 内容 |
本件年金保険契約は平成9年11月に解約されたものとして処理されているところ、解約還付金の受領について身に覚えがないので、その支払を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、本件年金保険契約は平成4年6月に成立したところ、その後、平成9年11月に請求人から解約の申出があり、同日、解約に伴う還付金の即時払がなされたことが認められるので、当該還付金を支払うことができないとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
【6】契約者配当金の不足分の支払請求
ご請求の 内容 |
契約時のパンフレットには配当金がこんなにつきますと断定して表示してあり、保険金額100万円に対する満期時受取金額が明示されていること等から、契約者配当金の不足分の支払を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、本件保険契約は、全期間払込20年満期養老保険の保険契約として成立したものであるところ、請求人の主張するパンフレットについては、特定の年度に満期を迎える配当金について述べたものにとどまり、将来同様の配当金を約束するものではないことはその記載上明らかであり、また、簡易生命保険契約の内容は、簡易生命保険法及び簡易生命保険約款によるものであって、本件保険契約に適用されるべき簡易生命保険約款によれば、契約者配当金として請求人に支払われるべき金額は、既に支払済みの契約者配当金と同額であることが認められるので、請求人が契約者配当金の不足分として主張する金額を支払うことができないとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
【7】満期保険金の支払請求
ご請求の 内容 |
平成12年6月に満期保険金を受領したところ、その後、正当権利者であるA(請求人と氏名の読みを同じくする者)に支払うべきものを誤って請求人に支払ったとして、その返還を求められ返還したが、本件保険契約は、職場の団体保険に加入したもので、請求人は何の手続きなどせず、団体にまかせっきりであったのであり、受領証と申込書の筆跡の違いを指摘されてもそれは当然であること等から、(本件保険契約の保険金受取人は請求人である。したがって、)請求人に対して満期保険金の支払を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、本件保険契約は、保険契約者をA、被保険者をB、保険金受取人をAとして成立したことが認められるので、本件保険契約の保険金受取人は請求人ではなくAであり、また、本件においては、請求人からの保険証書の再発行を誤って受理していることが認められるものの、これらのことをもって、請求人を満期保険金受取人と認めることはできないこと等から、請求人に満期保険金を支払うことができないとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
【8】契約者配当金の不足分の支払請求
ご請求の 内容 |
平成10年2月に保険料の払込みをして新規で申込みをした保険契約2件について、郵便局によると、加入2年後に解約されているとのことであるが、誰が解約したのか等について尋ねても分からないと答えるのみで全く納得いかない。 そこで、当該保険契約(2件)が有効に存続していることの確認を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、各申込みについて、いずれも新規の保険契約として有効に成立・存続しているものとは認められない。したがって、これと同様の結論となる会社の査定は妥当であると認められる。 |
【9】重度障がいによる保険料の払込免除の請求
ご請求の 内容 |
被保険者の身体の状態について、本件保険契約の重度障がいによる保険料の払込免除を拒絶されたが、納得できない。 そこで、重度障がいによる保険料の払込免除を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、被保険者の状態(慢性腎不全及び左足壊疽切除)は、約款所定の重度障がいの状態に該当せず、また、効力発生後にかかった疾病によるものでもないから、重度障がいによる払込免除とすべきとは認められない。したがって、払込免除とすることはできないとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
【10】告知義務違反による解除の無効の確認請求
ご請求の 内容 |
被保険者は、告知を行う際、郵便局員に糖尿病の薬を飲んでいることを明言し、その上で、同局員は質問表(告知書)を受領したのであり、保険者は、この事実を承知の上で契約を成立させたものであるから告知義務違反による解除は不当であり、無効であることの確認を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、被保険者は本件保険契約の申込当時、糖尿病に係る投薬治療を継続的に受けていたこと等が認められるところ、質問表(告知書)においては当該事実が告知されていないことが認められるので、被保険者には悪意又は重大な過失による不告知があったと認められる。また、被保険者は、質問表(告知書)を記入する際、申込受理局員に対し、一般論として投薬を受けている場合の取扱いについて尋ねたことはあるものの、現に糖尿病の投薬治療を受けている事実を述べたとは認められないから 保険者が被保険者の不告知に係る事実を知り、又は過失によってこれを知らなかったとは認められない。したがって、告知義務違反による解除は有効であるとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
【11】保険契約申込みの意思表示の取消しの請求
ご請求の 内容 |
保険契約者である請求人が入院したため、入院保険金の請求をしようと郵便局を訪問したところ、被保険者は請求人の妻であって請求人は保障の対象にならないとの説明を受けたが、本件保険契約の申込みの勧誘を受けた際、郵便局員から、保険契約者及び被保険者についての説明や、保険契約の内容及び重要な事項を記載した書面の交付もなかったのであり、これは保険業法第300条等に違反するから、本件保険契約の取消しを求める 。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、本件保険契約の申込みの勧誘の際、請求人は、被保険者が入院等した場合に保険金を支払う旨等が記載された書面の交付を受け、これを了解した上で、申し込むとして署名押印をなしていること等からすると、郵便局員がことさら保険契約者も保障の対象であるとの虚偽の説明を行った事実を認定することはできない。そして、当時の日本郵政公社の業務に関しては保険業法の適用はないところ、日本郵政公社の職員の募集行為については、旧簡易生命保険法第104条においてこれに関する禁止行為が規定されていたが、本件の場合、同条第1項第1号に規定する虚偽の説明がなされたこと等を認めることはできない。また、本件保険契約の申込みの意思表示につき、錯誤による無効等を認めるべき事実もない。したがって、これと同様の結論となる会社の査定は妥当であると認められる 。 |
【12】契約者配当金の支払請求
ご請求の 内容 |
年金支払期間中、恐慌等もなく、当社の経営状況であれば契約者配当をすることが可能であり、その金額が0円となることに納得がいかない。契約者配当金として少なくとも5万円の支払いを求める。 |
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審査結果の 概要 |
本件保険契約に適用されるべき保険約款の規定に基づき算定すると本件の場合、分配すべき契約者配当金が生じなかったことが認められるから、契約者配当金を支払うことができないとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
【13】傷害保険金の支払請求
事案の概要等 | 被保険者は、転倒して右肘尺骨を骨折し、右肘関節に障がいが残ったところ、被保険者は、国から身体障がい程度等級5級に認定されていること等から、傷害保険金の支払を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、被保険者の右肘関節の障がいは、約款所定の身体障がいのいずれにも該当しないと認められるので、被保険者の右肘関節の障がいについて傷害保険金を支払うことができないとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
【14】既払込保険料の返還請求
ご請求の 内容 |
本件保険契約について、加入時に詳しい説明もなく、自分と子供Aの2人に保障が付くものと考えていた。よって、払込済保険料の返還を求める。 |
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審査結果の 概要 |
関係書類によれば、本件保険契約の申込みの勧誘の際、請求人は、被保険者が入院等した場合に保険金を支払う旨等が記載された書面の交付を受け、これを了解した上で、申し込むとして署名押印をなしていること、郵便局員は、契約内容の説明のために数回訪問し、保障の対象がAであること等を時間をかけて説明していること等からすると、郵便局員がことさら保険契約者も保障の対象であるとの虚偽の説明を行った事実や十分な説明義務をつくさなかった事実を認定することはできない。請求人は本件保険契約の保障の対象が請求人ではなく、Aであることを認識した上で、本件保険契約の申込みを行ったものと認められる。したがって、本件保険契約の申込みの意思表示につき、錯誤による無効等を認めることはできないから、既払込保険料の返還をすることができないとした会社の査定は妥当であると認められる。 |
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