Vol.15 栄養が摂れるって本当? ちょっと気になるインスタント食品の実情
いつでも気軽に食べられるインスタント食品。忙しい日々のなかで、普段からカップラーメンやレトルトカレーを口にしている方も多いのではないでしょうか。かんたんで便利な反面、インスタント食品に「栄養があるのか」「からだへの害はないのか」が気になります。
この記事では、意外と知らないインスタント食品の実情についてご紹介します。正しい知識を備えて、よりよい食生活を送りましょう。
インスタント食品の種類
そもそも「インスタント食品」は、即席で調理できる食品の総称です。カップラーメンやレトルト食品、即席みそ汁もこれに該当します。一般的には、"お湯を注いで食べるもの"というイメージが強いようですが、広い意味では冷凍食品や缶詰もインスタント食品のなかに含まれます。
インスタント食品はからだに悪い?
健康志向の方は、「からだに悪そう」とインスタント食品を避ける傾向にあります。しかし、一概にそうとは言い切れません。販売されている8割以上の商品は、厳しい基準をクリアした「JAS規格」のマークが表示されています。そのため、食品添加物によるからだへの影響はほとんどないと考えられます。
また、食べると太るというイメージの強いカップラーメンですが、通常サイズの商品ならスープを飲み干しても、カロリーは300~500kcal。カレーライスが550~800kcal、カツ丼が800~1200kcalと言われていますから、カロリーの高さを心配する必要はなさそうです。
インスタント食品の栄養に関するメリット・デメリット
では、インスタント食品に栄養はあるのでしょうか?メリットとデメリットの両方を見ていきましょう。
メリット
まずは、メリット3つを挙げていきます。
インスタントラーメンはカルシウムが強化されている
先ほど触れた「JAS規格」のマークがあるインスタントラーメンの多くは、カルシウムやビタミンB1、B2といった栄養成分が強化されています。つまり、しっかり栄養も考えられているのです。
もちろんこれだけでは偏食になってしまいますが、それはどんな食品でも同じ。インスタントラーメンと一緒に野菜や魚などを食べて、栄養バランスを意識するとよいでしょう。
冷凍食品は意外に栄養がとれる
下ごしらえもいらず、電子レンジで温めれば食べられる冷凍食品。インスタントラーメンと同じくかんたんで便利な反面、「栄養がとれない」というイメージがあります。しかし、意外にも旬でない時期の生野菜よりビタミンやカルシウムなどの栄養価が高いこともあるようです。
たとえば冷凍野菜の場合、新鮮なうちに急速冷凍されて?18℃以下で管理されます。栄養だけでなく風味も損なわれにくいことから、そのままでも十分おいしく食べられます。足りない栄養を補うため、カレーやパスタなどの具材として使用するのもよいでしょう。
缶詰・びん詰・レトルトは栄養分が高いものも
缶詰、びん詰、レトルト食品は、殺菌などが入らないように密封され、また、食中毒を防ぐために加熱処理をしています。だからこそ、「栄養成分の損失が大きい」というイメージが強いのかもしれません。
もちろん、新鮮な食品に比べて加熱殺菌の影響はあります。とはいえ、ビタミン類などの栄養分は、家庭で調理したものよりも多く含まれているとの研究結果も出ています。常温で長期間保存できること、生野菜のように腐ってしまうリスクがないことも大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット
続いては、デメリットを見ていきます。
「リン」がカルシウムの吸収を阻害する
多くのインスタント食品には、たくさんの「リン」が含まれています。リンを過度に摂取すると、骨をつくるのに欠かせない栄養素「カルシウム」の吸収が阻害されてしまいます。
インスタント食品だけがNGというよりは、どんな食品でも偏食すれば必ずマイナス面が表れるということでしょう。
個食になり、栄養への関心が薄れる
昨今、未婚率が高くなっていること、ライフスタイルの多様化などの影響もあり、家族で食事することが少なくなりました。1人で食べる「個食」は、インスタント食品など簡素なものを口にしがち。偏食しやすいのも現実です。
また、食事は栄養をとるだけでなく、コミュニケーションの場でもあります。料理のつくり方、料理の種類、食事のマナーなど、会話のなかで学ぶことも多いはずです。家族がいる方は、ぜひ週1回でも食卓を囲む習慣をつくってみてください。
インスタント食品と手料理を
うまく使い分けよう
インスタント食品の実情を見ると、「かんたんで便利=栄養がない」という考え方は誤っていることに気付かされます。ただし、同時に偏食によって「カルシウムの吸収が阻害される」といったデメリットも忘れてはいけません。
インスタント食品は、忙しい日々を送る現代人の味方です。メリットとデメリットを踏まえて、上手に付き合っていくことをおすすめします。
2019.10.11 作成