Vol.8 あなたは知ってる?
高齢者の「夏バテ」に
効果的なサポート方法
ここ最近、世界中で夏の猛暑が問題視されています。 日本でも毎年のように熱中症の注意喚起がなされていて、とくに高齢者に対しては「暑さを我慢せず、冷房をつけて」と呼びかけています。にもかかわらず、息絶えてしまう高齢者は後を絶ちません。
この記事では、高齢者が「夏バテ」にならないための対策、また、なってしまった場合のサポート方法についてご紹介します。正しい知識を備えて、身の周りにいる高齢者の熱中症を予防しましょう。
高齢者の夏バテの特徴とは?
若い頃に比べて、高齢者は体力が落ちています。同時に「暑さに対する感覚」「体温を調節する機能」も低下するため、熱中症のリスクが高まるようです。
また、のどの渇きに気づきにくく、あまり水分を口にしなくなるという傾向にあります。
加えて、夏の暑さによって胃腸のはたらきが悪くなり、食欲がわかなくなって体調を崩すこともよくあることです。
高齢者が一度健康を損ねると、持病を悪化させたり衰弱してしまったりする危険性も高まります。だからこそ、日常から体調管理に注意する必要があるのです。
水分不足には乳酸菌の摂取を
年齢を重ねるにつれて、トイレを使用する頻度が高くなります。この点こそ、高齢者が水分補給をしなくなる大きな理由の1つだと考えられています。 とくに「夜に尿漏れするのは恥ずかしい」と、水分を控える方は多いようです。
しかし、体内の水分が不足すれば便秘につながります。高齢者は腸のはたらきも衰えているため、排出すること自体も困難になります。 この問題を解決してくれるのが、スーパーなどで気軽に購入できる乳製品です。
ヨーグルトやチーズに含まれる動物性乳酸菌は、お通じをよくしてくれます。 また、咀嚼する機能が衰えている高齢者でも口にしやすい食品です。身近に便秘がちな高齢者がいたら、アドバイスしてあげましょう。
おすすめの食事メニューと
ポイント
夏バテ対策にもっとも有効なのが、栄養バランスの取れた食事です。
とはいえ、高齢者の場合は、「咀嚼しにくい」「消化によくない」食材は避けて、なるべく柔らかいものをすすめてあげましょう。
おすすめの食事メニュー
- 主食:白米、麺類 など
- たんぱく質:半熟卵、鶏肉、煮魚、豆腐、湯葉、納豆 など
- 野菜類:煮野菜(きゅうり、トマト、なす など)
- 果物類:バナナ、オレンジ、みかん など
- そのほか:発酵食品(味噌、甘酒 など)やくみ(しょうが、みょうが、青ネギ、大根おろし など)
食事のポイント
夏の暑い時期は、汗がふき出すほどの熱い料理は避けましょう。体温調節が難しくなっていること、温度感覚も衰えていることから、舌をやけどしてしまう可能性もあります。
とはいえ、冷たいものばかりでは、胃腸のはたらきを悪化させてしまいます。少し温かいか、常温くらいを目安とするとよいでしょう。
おすすめの運動とポイント
食事だけでなく、暑さに負けないからだをつくるためには適度な運動も必要です。ここでは、高齢者に適したエクササイズをご紹介します。
座ってできるエクササイズ
両足のもも上げ
- 椅子に座った状態で、両足のももを上げます。
- 両足がつらいようであれば片足ずつでもOKです。
- これを10回繰り返します。
両足のひざ伸ばし
- 椅子に座った状態で、両足のひざを伸ばします。
- 両足がつらいようであれば片足ずつでもOKです。
- これを10回繰り返します。
バランスボールを両足で
押しつぶす
- 顔のサイズほどのバランスボールを用意します。
- 椅子に座った状態で、これを両太もものあいだに挟みます。
- 太ももの内側でボールを押しつぶすようにちからを入れます。
- これを10回繰り返します。
1~3ともに、太ももとおなかの筋肉を意識しながら行うと効果的です。
日陰でのウォーキング
ウォーキングも高齢者におすすめの有酸素運動です。とくに夏の暑い時期は、次のポイントを意識して行うようにしてください。
日射病対策として、必ず帽子を着用する
炎天下ではなく、日陰の多い場所を選ぶ
できれば緑の豊かなスポットに出向く
エクササイズは体力を向上させるだけでなく、気分をリフレッシュさせるメリットもあります。 本人のモチベーションが上がるような場所でウォーキングするとよいでしょう。
自分の親を夏バテから守って
あげよう
年齢を重ねるにつれ、体力の衰えは避けることができません。 ただし、高齢者のからだの特徴を知っていれば、夏バテを予防したり症状を改善したりと、周囲の人間によってサポートすることができます。
「最近、親の元気がない」と感じていたなら、ご紹介した方法をぜひ試してみてください。 体力を取り戻して、元気な笑顔を見せてくれるかもしれません。
2019.8.2 作成