健康診断結果を活用していますか?受けて終わりにしていませんか?
結果に安心した方にもドキッとした方にも知ってほしい健診値の見方について、わかりやすく解説します。
また、性・年代別に基準値範囲を超えてしまう人がどのくらいいるのか、基準値範囲を超えてしまうとどのようなリスクがあるのか、この機会に是非チェックしてみましょう。
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管を流れるときに、血管の壁にかかる圧力のことです。心臓は、ポンプのように収縮と拡張を繰り返しており、心臓が収縮するときは、血管内の圧力が最も高くなります。
血圧は日常生活でも上下することが知られており、喫煙や食事などが原因で血圧は上がります。問題となるのは、一時的に高い血圧ではなく、安静時にも血圧の高い状態が続く高血圧です。
日本には、診察室の血圧測定において、日本高血圧学会による「収縮期血圧140mmHg以上」か「拡張期血圧90mmHg以上」という高血圧の診断基準があります。
血圧の年代別リスク分布(B~D判定(軽度異常以上)の割合)
高血圧の人の血管は、圧力が高い状態が続き傷みやすくなっています。心臓の仕事量も増え、動脈硬化が起こりやすくなります。高血圧を放っておくと、さまざまな合併症を起こしかねません。自覚症状のないまま突然死に至る危険性や、一命をとりとめても後遺症の治療が必要となる場合もあります。
脳の細い血管が突然破裂して起こる脳出血、脳の血管が血栓で詰まる脳硬塞、脳の表面をおおう膜のひとつである「くも膜」の下に出血してしまうくも膜下出血では、言語障害や身体の片側麻痺などの後遺症が出る可能性があります。脳卒中の診療日数や医療費総額の平均は、次の表のとおりです。
脳卒中の平均診療日数・医療費総額
診療日数 | 医療費総額 | |
---|---|---|
入院 | 26.6日 | 187.6万円 |
外来 | 4.2日 | 5.3万円 |
心臓の壁が厚くなるのが心肥大で、進行とともに心臓の働きが低下、心不全の原因ともなります。心臓のポンプ機能が損なわれた状態が心不全で、動悸や息ぎれが起き、呼吸困難で生命にかかわることもあります。心臓に栄養を与えている冠動脈の動脈硬化が進むと、胸痛を伴う狭心症の発作が起こりやすくなります。血栓や進行した動脈硬化で血液の流れが完全にとまるのが心筋梗塞です。胸の激痛が15分以上続き、ショック状態に陥ります。最初の発作で3割の人が亡くなるほど危険な病気です。心筋梗塞の診療日数や医療費総額の平均は、次の表のとおりです。
心筋梗塞の平均診療日数・医療費総額
診療日数 | 医療費総額 | |
---|---|---|
入院 | 14.2日 | 179.5万円 |
外来 | 4.6日 | 6.8万円 |
【参考文献】
【執筆者プロフィール】井林 雄太 (いばやし・ゆうた)
1984年生まれ、2008年大分大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務の傍ら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
【ホームページ】
福岡ハートネット病院:https://heartnet-hp.jp/
2025.3.24 作成