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企業情報・経営方針
トップメッセージ
ご挨拶にあたり、まずは令和6年能登半島地震にてお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さま、そのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。今も被災地域では、日本郵政グループ社員が一体となり、復興支援を続けております。私も2024年2月に、社員の激励のために、現地に赴きましたが、生命保険会社としての社会的使命を胸に、地域の皆さまに寄り添い、懸命に業務に当たっている姿を目の当たりにし、大変心強く感じました。今後もかんぽ生命は、日本郵政グループの一員として、お客さまに「安心」をお届けするという、生命保険の本質と社会的意義のもと、復興支援に努めてまいります。
社長就任後の1年について
フォア・ザ・カンパニーの精神で社員が失敗を恐れず挑戦できる企業風土へ
2023年6月に社長に着任してから約1年間が経過しました。営業力の強化や保有契約件数の維持・拡大といった課題があるなか、私は全社員に向けた就任の挨拶で、大きく三つのことについて申し上げました。一つ目は、かんぽ生命が100年を超える長きにわたり、国民の皆さまに安心を届け、日本の経済と文化の発展に尽力してきたことに「自信と誇り」を持って、堂々と仕事をしてほしいということ。二つ目は、生命保険会社として、社会的使命とともに、お客さまへの責任をしっかり果たしていく「強い会社」にしていきたいということ。三つ目がお客さまや働く仲間に対しては、常に「リスペクト」の気持ちを持ってコミュニケーションをしてほしいということです。
就任以降、徐々に明るい兆しが感じられるようになり、特に、2023年12月末の業務改善命令に基づく定例報告義務の解除を経て2024年1月からは、多くのお客さまにご好評いただいている一時払終身保険の販売開始や、高齢のお客さまへのご提案の再開など、前向きな事業環境の変化がありました。これまでの全社一丸となったかんぽ再生に向けた取り組みが、着実に形になってきたものと認識しています。
これは社員のES調査(エンゲージメントスコア調査)結果にも現れており、2024年1月の調査では、前回から大幅にスコアが上昇しました。特に、コンサルタント(主にお客さまのお宅を訪問して活動する社員)の皆さんが所属するかんぽサービス部における評価が向上しており大変嬉しく思っています。
私は、大学卒業後に当時の郵政省に入り、それから40年が経ちました。29歳のときには、兵庫県の郵便局の局長となり、この1年間の局長時代で、私は、毎日のように決断を迫られるトップの厳しさ、逃げずに本気で仕事に向き合う大切さを教わったと思います。また、当時、大雪で郵便物が滞留してしまい、周囲の郵便局から応援を受けるという事態も起こりました。対応してくださった先輩方からいただいた「若い局長を救うためにやるのではなく、郵便局の信頼のためにやるのだ」という言葉は、今も忘れられません。
このような経験もあり、私は「フォア・ザ・カンパニー」という言葉を大切にしています。約2万人の社員それぞれが会社に愛着を持ち、この会社を少しでも良くしようという気持ちで取り組めば、かんぽ生命はお客さまから信頼され、本当に強い会社になると思っています。そして、会社を良くしようという思いで挑戦したことに対しては、例え失敗に終わったとしても、その行動を評価し、次の成功につなげていくことができる環境づくりを進めています。失敗を恐れていては前には進めません。失敗を恐れずに挑戦が許される、そんな企業風土をつくり上げます。
中期経営計画の見直し
「お客さまの維持・拡大」とともに、「持続的に成長する強い会社」を目指す
2024年5月に、中期経営計画(2021年度~2025年度)を見直しました。5年計画の中間期で取り組みを再評価し、かつ、金利上昇といった外部環境の変化、高齢のお客さまへの募集の再開などの内部環境の変化を鑑みて、経営戦略を改めて練り直しました。
これまでの中期経営計画では「お客さまから真に信頼される企業への再生」と「持続的成長」を柱に掲げており、見直し後においては、今後の成長戦略として、「お客さまの維持・拡大」や「持続的に成長する強い会社」を目指すことを、戦略の柱として位置づけています。
「お客さまの維持・拡大」に向けて
現場の社員の声を大切にすることが、会社の成長につながる
「お客さまの維持・拡大」に向けては、支店において法人営業に携わってきた社員に加え、2022年4月の営業体制の改革において、日本郵便株式会社から迎え入れた約1万人のコンサルタントの皆さんがキーパーソンです。2023年7月には、新たな人材育成制度として、「かんぽGD制度」を導入しました。営業活動における成果を、実績だけでなく、網羅的・定量的に評価する仕組みであり、人材育成とモチベーション向上の面で大きな効果が得られていると実感しています。
また、「現場は会社の相似形であり、現場で起きていることが、すなわち会社で起こっていることだ」という私の信念もあり、経営陣と、主に現場の社員がディスカッションを行う「フロントラインミーティング」を継続して実施しています。私自身も毎月、必ず全国各地の現場に足を運び、社員の皆さんが困っていることを把握するとともに、少しでも解決することができるよう努力しています。一例を挙げますと、新商品の発売直後に、コンサルタントの方から、申込に必要な電話確認が急増しているとの声を聞き、即日、担当役員に連絡するとともに、翌日には関係役員および部長間で対応方針を策定の上、翌々日には電話確認ができやすい環境を整備しました。
お客さまの「信頼できる気軽な相談相手」に
お客さまのニーズに合った商品とアフターフォローの充実に取り組んでいく
「お客さまの維持・拡大」に向けて、お客さま本位の業務運営のもと、今後は、多様なお客さまのニーズに応えられる商品ラインアップの拡充と、質と量を伴ったアフターフォローの充実に取り組んでまいります。
商品ラインアップの充実に関しては、2024年1月に販売を開始した一時払終身保険に加え、今後の新商品として、人生100年時代のニーズに即した、要介護状態や就業不能に備える保険なども検討しています。お客さまの人生をライフイベントに合わせて、保険の力できめ細やかにサポートし、見守り続けることができるよう、引き続き商品ラインアップの拡充に取り組んでまいります。
アフターフォローに関しては、リアルとデジタルの双方を活用しながら、お客さまやご家族の状況をタイムリーに把握した有益な情報提供やお困りごとの解消などにも注力し、お客さま体験価値(CX)の向上を目指します。業界最大級のお客さま基盤を持つ当社では、満期をお迎えになる方も大勢いらっしゃいます。その方に切れ目のない保障をご提供するとともに、ご家族の方にも、こうした「商品ラインアップの拡充」、「アフターフォローの充実」により、ライフステージや世代を超えて、安心を提供し続けていきます。また、「信頼できる気軽な相談相手」としてつながりを持ち続けることで、お客さまの維持・拡大を目指してまいります。
「持続的に成長する強い会社」へ
お客さまへの責任を確実に果たすため、経営基盤の強化に向けた新たな取り組みを進める
もう一つの成長戦略の柱である「持続的に成長する強い会社」には、お客さまへの責任を果たしていくための経営基盤の強化という意味が込められています。
そのためには何よりもまず、先に述べた「かんぽGD制度」を通じた人材育成の取り組みに加え、積極的な採用による体制強化を図るなど、郵便局ネットワーク等の対面チャネルを支える人材の強みを最大化していくことで、営業力の強化を図ってまいります。
さらに、資産運用においても、市場環境の変化を捉えた収益向上を図るとともに、収益源の多様化・新たな成長機会の創出に向けて、2024年5月に発表した大和証券グループとの資本業務提携など、国内外の各種提携関係をもとに、我々の事業のウイングを広げていきます。併せて、サステナブル投資の推進により、機関投資家としての責任を果たしていくとともに、社会課題の解決を目指してまいります。
このほか、DX推進により、CXの向上を目指すと同時に、事業運営の効率化も図っていきます。例えば、お客さまから対面で請求を受け付ける際に、紙ではなく、デバイスを使うことで、お客さまの手続きにかかる時間や必要事項の記載漏れといった不備解消にかかる負担を減らすとともに、バックオフィス業務における確認作業等を削減することができます。効率化により、社内の人材をリスキルして、別の強化領域に配置・活躍してもらうことも可能となり、人的資本の活用という点においても重要な取り組みと認識しています。
今後の目指す姿について
日本一の信頼感・親近感を持つ「かんぽブランド」の確立を目指していく
我々の企業価値の源泉は「お客さまからの信頼」です。今後も、「郵便局の保険」として、お客さまから日本一の信頼感・親近感を持っていただける「かんぽブランド」を確立していくため、全社員一丸となって取り組んでまいります。
2023年4月の社長就任内定時の会見で、私のミッションは「かんぽ再生」であると申し上げました。あれから1年が経過しましたが、社員の皆さん一人ひとりの懸命な努力のおかげで、まずは第一歩を踏み出せたと思っています。今後も、「お客さまから信頼され、選ばれ続けることで、お客さまの人生を保険の力でお守りする」というかんぽ生命の社会的使命を着実に果たしていくとともに、新たなステージに向けた歩みを進めてまいりますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
2024年7月
株式会社かんぽ生命保険
取締役兼代表執行役社長
谷垣 邦夫
関連ページ:かんぽ生命の経営戦略・成長戦略