Vol.22 あなたのBMIは大丈夫?
~今からでも始められる!
BMIを下げる5つの生活習慣~
みなさんは「肥満の定義」をご存じでしょうか?
肥満は、簡単に言えば「身長に比べて体重が重い状態」です。
病態としては、「脂肪組織に脂肪が仮に蓄積した状態」になります。
健康志向が高まっている昨今、一度はBMI(Body Mass Index:通称ビーエムアイ)という言葉を耳にしたことがある方も少なくないかと思います。
BMI=[体重(kg)]÷[身長(m)2]は、国際的な体格の指標としても用いられており、その標準とされる値は男女とも22.0。統計上、肥満との関連が強い糖尿病、高血圧、脂質異常症にもっともかかりにくい数値とされています。
これを踏まえ、BMIが18.5以上25未満であれば普通体重、25以上の場合が肥満に分類され、35以上になると高度肥満と定義されます[※1]。
「ちょっと太っていても大丈夫」と油断していませんか?実は…
肥満であると判定された場合は、糖尿病や高血圧、脂質異常症を合併しやすく、心疾患・脳血管疾患の発症、そして、重症化させてしまうことが研究によって明らかになっています。
BMIは低すぎてもよくありませんが、数値が高くなればなるほど心疾患・脳血管疾患の発症および死亡率は上昇します[※2]。
さらにデータを解析してみると、この事実をあと押しするように肥満の人は標準体重の人に比べて心疾患・脳血管疾患による入院発生率が約1.7倍も高くなっていました。
出典:株式会社JMDCが保有する健診データを基に、健診受診後5年以内に心疾患・脳血管疾患によって入院する割合を算出
日本を含む100万人以上のアジア人を対象に、約10年間、健康状態を追跡した調査報告では、BMIが20.0?22.4のときに心疾患・脳血管疾患による死亡率がもっとも低いという結果になっています[※3]。
BMIを下げる5つのポイントをチェック!
BMIが25以上の方は、まずは肥満を改善するための生活習慣ができているかをチェックすることからはじめましょう。ポイントは5つ。次の表の通りです。
BMIを下げる5つの生活習慣
1日3食バランスよく食べる
朝食はきちんと食べましょう。
昼食や夕食などで「まとめ食い」をすると、返って太りやすくなります。
野菜はたっぷり摂る 毎食1皿以上は野菜や海藻を
野菜や海藻に含まれる食物繊維は糖質や脂質の吸収を抑え、それぞれが持つビタミンが代謝を促進するなどの効果があります。
食事はゆっくり、よく噛んで食べる
よく噛むことで満腹中枢が刺激され、必要以上に食べることを防いでくれます。
1口30回以上噛むように心掛けてみましょう。
間食(お菓子やジュース)・アルコールなどの嗜好品を控える
家事や仕事などの活動が少ない夜間、特に深夜の間食や飲食は脂肪組織に取り込まれてしまいます。
3食しっかり食べて間食を控えましょう。
定期的な運動をする
運動によって身体の基礎代謝を活発にすることは、筋肉を維持するために必要不可欠です。
まずは手軽にウォーキングから始めてみましょう。
BMIを低下させるポイントを確認したら、次は運動に注目。もっとも取り組みやすいウォーキングに挑戦してみましょう。
【参考文献】
- 厚生労働省, e-ヘルスネット, 肥満と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html - Shizuka Sasazuki et al. Body Mass Index and Mortality From All Causes and Major Causes in Japanese: Results of a Pooled Analysis of 7 Large-Scale Cohort Studies. J Epidemiol. 2011; 21(6): 417?430.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21908941/ - Yu Chenet al. Association between body mass index and cardiovascular disease mortality in east Asians and south Asians: pooled analysis of prospective data from the Asia Cohort Consortium. BMJ 2013;347:f5446
https://www.bmj.com/content/347/bmj.f5446
【執筆者プロフィール】
井林 雄太 (いばやし・ゆうた)
1984年生まれ、2008年大分大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務の傍ら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。
ホームページ:福岡ハートネット病院
2023.9.22 作成