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第9回全国小学校ラジオ体操コンクール受賞校・受賞チームの紹介

技術部門

金賞

鹿児島県 中種子町立増田小学校
MASUDA スマイル☆ブレス の皆さん

心も身体も成長し見違えるように

  • インタビュイー
  • 教頭 白水先生
  • 金賞と知ったとき、児童の皆さんの様子はいかがでしたか?
    発表当日は、5・6年生全員で結果を確認しました。まず(同じ増田小学校から出場したチーム)「増田Dynamic7」の名前を見つけて、「私たちだ! 優秀賞だ!」と喜び合いました。なかなか出てこなかった「MASUDA スマイル☆ブレス」の名前を、最後に金賞で見つけた時には、子どもたちは飛び上がって喜びました。その後はみんな嬉し泣きで…大号泣でした。一昨年が金賞と優秀賞、昨年は銀賞や優秀賞、エリア奨励賞とすばらしい賞をいただきましたが、昨年「嬉しいけれど悔しい。」と言っていた子どもたちです。「再度、金賞を」を目標に頑張ってきましたので、格別な想いがあったのだと思います。
    金賞を目指すにあたって特に注力した点を教えてください。
    増田小学校は第1回から本コンクールに参加し、連続入賞を果たしています。これまで伝統的に「正しく美しいラジオ体操」を意識してきました。昨年からは、さらに「呼吸」を意識するようになりました。今年度も練習を始めた5月頃はこぢんまりとした体操でしたが、1か月ほど経つと、呼吸を意識することで筋肉の可動域も広がり、ダイナミックでのびのびとした大きな体操に変わりました。同時に、よく動く体に自信と楽しさが生まれ、自然と笑顔が出るようになりました。
    練習で工夫した点はありますか?
    子どもたちがただ漠然と「金賞が獲りたい。」と言うだけで、やらされているだけでは、何も上達しません。子ども一人一人のやる気や自主性をどう引き出すかがポイントです。自分たちから「練習したいです。見てください。」と言ってくるようになってから、目の輝きも練習への姿勢も、チームワークも、体操の上達も、また下級生へのアドバイスも見違えるようによくなりました。褒める点、きちんと指導する点を、指導する側がぶれずに、一貫した指導を行うことが重要だと思います。また、子どもたちも私自身もテレビ体操を行ったり、練習動画で動きをチェックしたりしました。正しい体操を知り実践することで、子どもたちの動きもどんどん美しく、正しいものになっていったと思います。
  • コンクールを通して子どもたちの変化を教えてください。
    コンクールに参加することで、技術面だけではなく、心の面にも成長がありました。初めのうちはチーム内で意見が合わずに、ぎくしゃくしたこともあったようです。しかしながら、相手を思いやり意見を尊重し合うことで、チームに信頼感や一体感が生まれました。お互いのチームがアドバイスし合ったり、下級生に教えたりする中で、これまで以上に優しい言動が随所に見られるようになりました。6年生は、次の10年、第20回まで連続出場してほしいと願っています。
    増田小学校の皆さんにとってラジオ体操はどのようなものですか?
    ラジオ体操は、日常であり、子どもたちを輝かせてくれるものです。本校は「ラジオ体操の増田」「体育の増田」と言われます、ラジオ体操のお陰で、体幹が強くけがをしにくい柔軟で丈夫な体をつくることができています。そのため、子どもたちは運動に親しむ機会が増え、児童数32名の小規模校でありながら、町や地区の体育的行事、スポーツ少年団等の活動でも常に上位入賞を果たすなど、体力・運動能力の向上も著しいです。そして、ラジオ体操コンクール連続入賞で得た自信は、全児童の自己肯定感を高めました。さらに、ラジオ体操で培った集中力や忍耐力、活性化した脳は、学力向上という学習面への相乗効果ももたらしています。このように、ラジオ体操は常に子どもたちの日常生活の中にありながら、一人一人を多方面で輝かせてくれる、かけがえのないものとなっています。

銀賞

埼玉県 春日部市立江戸川小中学校
江戸川ラジオKIDS の皆さん

オーディションで年々技術が向上

  • インタビュイー
  • 教諭 体育主任 
    山内先生
  • 銀賞を受賞した率直な気持ちをお聞かせください。
    子どもたちに伝えた時にはすごく喜んでいました。ただ、金賞を目指していたので、すぐに悔しいという気持ちにもなったようです。喜びと悔しさが半分ずつというのが正直なところです。
    出場にあたって例年行っているオーディションについて教えてください。
    今年度は児童141名のうち3分の1以上となる、50名がオーディションに参加して、最終的に10名に絞りました。昨年度の出場者も4名いますが、もちろん平等にオーディションで選出しています。2、3年生の子も、低学年だからできない部分があっても仕方ない、ということは一切なく全員が実力で勝ち取りました。このオーディションによって子どもたちにも先生方にもラジオ体操が浸透して、年々レベルが上がっていると感じます。塾や習い事に通っている子どもも多い中、自分の時間を削ってもいいから挑戦したいという意思を持って参加してくれるのも嬉しいですね。
    校内でラジオ体操が浸透しているように感じられますが理由はありますか?
    本校前期課程では、スクールバスを運行しています。スクールバス利用の子どもの中には、バスの待ち時間(放課後)を利用して、ラジオ体操に取り組んでいる子どもがいます。このような実態もあって、本校ではラジオ体操への取り組みが他校より充実しているのかと思います。
  • 例年参加されていますが昨年度から変化した部分を教えてください。
    今年は猛暑だったので、体育館での活動ができなくなり空調のある教室や廊下など練習場所が限定されてしまいました。本番と同じフォーメーションでの練習は教室だとできません。3人組になって別々で練習を重ねるなど例年に比べると全員で練習する機会が減ってしまい苦労しました。その分、全員での練習は一回一回を大事にしようという気持ちで取り組みました。

    練習方法としてはテレビ体操を観て研究するほか、私がオリジナルで体操の解説動画を作成し、子どもたちに共有して、家でも観られるように工夫していました。

    またコロナ禍が落ち着いたことで集まる機会が増え、子どもたちだけで見つけた課題を話し合いで解決するようになり、私が介入することが格段に減りました。それはとても良かったと思います。通常の授業でも話し合いを重視しているので、それがラジオ体操でも活きて、またこの経験が授業にも活きてくるという良い循環が生まれています。そうやって子どもたちが成長していく様子を見られるのは嬉しいです。

銅賞

広島県 北広島町立大朝小学校
全力大朝 の皆さん

子どもたちの目標だった受賞が現実に

  • インタビュイー
  • 教諭 
    武本先生
  • 受賞された際の様子を教えてください。
    まず職員室で一報を受け取ったときに、校長先生とがっちりと握手をして「やったね、ようやくとれたね」と喜び合いました。子どもたちに伝えたときには、最初は「本当に?」と信じられないという様子でしたが、じわじわと嬉しさがこみ上げてきたようで、すごく嬉しそうな表情に変わりました。また、小さな学校ですので、「〇〇さんが受賞をしたよ」と伝えると周囲の子どもたちもすごく喜んで、学校全体がお祝いムードになりました。表彰式を見た5年生の子どもたちは、来年は今回の結果を超えて絶対金賞をとろうと、やる気に火がついていましたね。
    昨年までと違った取り組みや、工夫された点があれば教えてください。
    今年は、まずメンバーに何を目指して活動するかを問いかけたところ、子どもたちで話し合い「金賞、銀賞、銅賞のいずれかを受賞する」という目標を掲げることになりました。昨年度の受賞チームの映像を見たことも刺激になったようです。また、昨年までは教師主導で指導していたのですが、今年は子どもたちの中で決めたリーダーが中心となって練習を計画して、練習後の振り返りも行うようになったのは大きな違いですね。
    コンクールを通して子どもたちはどう変化していきましたか?
    それぞれの運動について、子どもたちがこの動きはここを伸ばすと効果的なんじゃないか、と気づいて意識できるようになっていきました。そんな風に自分たちで見直しをするという習慣ができたこと、ラジオ体操の動きを細分化して練習するようになったことが彼らの変化した部分だと思います。子どもたちだけで、きちんとできるのを間近で見て驚きましたし、私にとっても大きな学びになりました。
  • 日ごろから行っているラジオ体操の取り組みはありますか?
    北広島町では身体作りをメインに教育をするという方針があります。その一環として、学校では長年ラジオ体操に取り組んできました。月1回、ラジオ体操朝会を開催し、隣の中学校の生徒も集まり、職員を含めおよそ100人で一緒にラジオ体操を行っています。
    大朝小学校のみなさんにとってラジオ体操とは何ですか?
    ラジオ体操の魅力は他のスポーツやダンスと違って、どんな子でも、例えば車いすに乗っている人でもできるところだと思います。楽しく身体を動かせて、さらに突き詰めれば深いところまでいける意味のある運動だと感じています。また、コンクールを通して子どもたち同士が高め合っていく様子もみられ、精神的にも成長できるきっかけになるものだと感じました。

取組部門

総務大臣賞

山口県 山口市立大内小学校 の皆さん

学校の自慢、いつまでも大切にしたいものに

  • インタビュイー
  • 校長 
    澄川先生
  • ラジオ体操に取り組み始めたきっかけを教えてください。
    大きなきっかけとなったのは、コロナ禍で地域の方に学校へ来ていただいたり、子ども達と関わっていただいたりする機会が激減してしまったことです。そこで、地域の方にも元気を届けるメッセージ性のあるものを発信したいという思いで令和3年に「ラジオ体操溌剌隊」を発足してコンクールに参加。ルーキー賞をいただいたことを機に、その動画を地元のお祭りなどで流しました。その後、溌剌隊を中心に有志で朝のラジオ体操をするようになったんです。
    現在行っているラジオ体操の取り組みについて教えてください。
    ラジオ体操は始業前の8時5分から毎朝、自由参加型で行っています。続けるうちに、ラジオ体操でリフレッシュしてスタートするのがみんなの日課になりました。6年生が前に出て手本を示すのですが、これもすべて自主性に任せています。手本を示す上級生を見て、特に1、2年生は、「お兄さん、お姉さんのようになりたい」と憧れを抱くようになり、キャリア教育にもつながっていると感じます。この活動を楽しく続けるために、どうすればよいかを考えて実行しているのは体育委員会の子どもたちです。ラジオ体操カードを作成したり、そのカードがいっぱいになった児童を対象に「お楽しみくじ引き会」を行ったり、楽しい企画を進めてくれています。
    ラジオ体操を活用した取り組みの展望を教えてください。
    地域とのつながりを深めたいと、体育委員会がオリジナルのラジオ体操冊子を作って配布し参加を呼びかけているのですが、地域の方の参加人数を増やすにはまだまだ難しい現状があります。今後は、ラジオ体操の取り組みを多様な方法で繰り返し発信し参加を呼びかけたり、老人ホームや保育園、地域の行事などに出向いて正しいラジオ体操を披露していったりしていきたいですね。根幹には、学校を核とした地域作りを進めたいという想いがあります。子どもたちを見守りながら学校に集いラジオ体操をしていただくことで、健康につながると同時に関わりも深まる。一方、子どもたちにとっても、正しいラジオ体操を通して、保護者や地域へ向け、恩返しを含めて元気を発信することに意義があるとわかれば、自己有用感も高まっていくと思います。
    皆さんにとってラジオ体操とはなんでしょうか。
    大内小学校“らしさ”。今や学校にとってはなくてはならないものになりつつあると感じています。創立150周年を記念したアンケート調査でも、「学校の自慢・いつまでも大切にしたいこと」という項目でラジオ体操が3位に入りました。ひとつの文化として、このまま続いてくれるといいなと願っています。

文部科学大臣賞

大阪市立晴明丘小学校 の皆さん

全員で楽しく続けることを大切に

  • インタビュイー
  • 左:教諭 山本先生 
    右:校長 立石先生
  • 積極的にラジオ体操を行うようになったきっかけを教えてください。
    立石校長:私自身、ラジオ体操が大好きで毎朝必ず取り組んでいます。長年、中学校に勤務していましたが、5年前に小学校に赴任し、1級ラジオ体操指導士の資格を持っているので、正しいラジオ体操はこうするんだよと伝えたところ、まず先生方が身体に良い効果があることに気づき、子どもたちにも自然と広がっていきました。
    ラジオ体操の取り組みはどのように発展していったのでしょうか。
    山本先生:運動委員会の子どもたちから「ラジオ体操をもっと丘の子(晴明丘小学校児童の総称)に好きになってほしい」という意見があがりました。動きのポイントをみんなに教えたい、壁新聞を作りたいなどというのも、子どもたちのアイデアです。ラジオ体操タイムの参加者が多かったり、丘の子から「楽しい」という反応があったりするのが嬉しいようで、どんどん活動が広がっていきました。今後は近くにある幼稚園の子どもたちに動きのポイントを教えにいくことを予定しています。
    放課後に行っているラジオ体操について教えてください。
    立石校長:運動委員会の子どもたちが、ラジオ体操の輪を広げたいという思いがあり、毎週木曜日の放課後に、地域の人にも声をかけてラジオ体操をすることになりました。今日(取材日)は、ジュニアリーダー講習会で来校していただいていた全国ラジオ体操連盟指導委員の先生も一緒に参加していただき、子どもも大人も楽しくできました。

    山本先生:子どもたちも生き生きして、講師の皆さんも、こんな楽しそうにしている小学生はあまり見たことがないとおっしゃっていましたね。

    立石校長:楽しみながら自分の体と対話することが大事だと思いますね。最初から無理に奇麗な体操をしようとするのではなく、楽しく続けるうちに、だんだん伸びるところが伸びてきて、美しい体操になっていきますから。
    ラジオ体操を行うことで変化はありましたか?
    立石校長:ラジオ体操を通して校内の交流が活発になっています。スタンプ帳を全児童に配って、ラジオ体操をしたら運動委員の子がスタンプを押すんです。これはクラスも学年も関係ないんですよね。家でやったという場合も、自己申告でポンと押してあげる。だから家庭でもラジオ体操の取り組みが広がるんです。
    皆さんにとってラジオ体操はどのようなものでしょうか。
    山本先生:この質問を運動委員会の子たちに聞いてみたんです。すると「丘の子みんなで行う大切な体操」と一言で返ってきました。音楽に合わせてみんなで行うのが楽しいんだって。

    立石校長:年齢や身体の硬さ、運動能力に関係なく、みんなでできる。こんな良い体操はなかなかないですよね。
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