すこやかコラム 第48回
“動くギプス”と呼ばれる「テーピング(スポーツテーピング)」を知ろう
「テーピング(スポーツテーピング)」とは、がっちり固めるギプスと異なり、筋肉や関節をテープでほどよく固めて補強することで、ケガの予防や身体機能のサポートを行うものです。
しかし、使用するテープの種類や巻き方を間違えると逆効果になる可能性も。
今回は、テーピングの目的や効果、ウォーキングにおすすめのテーピング方法、応急処置などの基本的な知識をご紹介します!
テーピングの目的とその効果
テーピングとは、テーピング用のテープ(キネシオロジーテープ/伸縮性のあるテープ※1、ホワイトテープ/伸縮のないテープ※2など) を巻いて筋肉や関節を補強し、捻挫や打撲といったケガを防いだり、身体機能をサポートしたりする処置方法です。
まずはテーピングをする目的とその効果を確認しておきましょう。
※1:キネシオロジーテープ/伸縮性のあるテープ … 筋肉や関節の保護・補強を目的とした伸縮性の高いテープのこと。ケガの防止や痛みの軽減など、身体機能をサポートする。
※2:ホワイトテープ/伸縮性のないテープ … 関節の固定や部位の圧迫を目的とした伸縮性のないテープのこと。ケガの再発防止や応急処置などに使用する。
テーピングの3つの目的
ケガ予防
運動の種類によってケガしやすい部位は異なります。
動かす部位をあらかじめ補強することにより、ケガを防止します。
再発防止
過去にケガをした部位は、くせがついて再発しやすくなります。その部位をあらかじめ保護することにより、ケガの再発を防止します。
応急処置
ケガをした場合は早期の処置が必要です。テーピングして患部を圧迫・固定することで、症状の悪化を最小限に抑え、痛みを和らげます。
テーピングがもたらす3つの効果
可動域の制限
捻挫や脱臼は、正常な可動域(動かせる範囲)を超えた場合に起こる症状です。テーピングをして可動域を制限することで、起こりづらくなります。
ダメージの分散
過去にケガをした部位、もしくはケガをしている患部を補強することで、患部へのダメージやストレスを分散できます。
心理的な安心感
テープにより補強・保護することで、ケガに対する恐怖心が軽減されて安心感が生まれ、良いパフォーマンスを発揮できます。
今日から試したい!ウォーキングを快適にするテーピング
ウォーキングで動かす膝や足裏などの部位にテーピングをすると、筋肉や関節が補強されて快適に歩くことができます。普段から取り入れられるように、動画や手順の画像を見て練習してみましょう!
膝の安定感を高め、体のバランスを整えたい方には、膝の曲げ伸ばしをサポートしてくれるテーピングがおすすめ!
● キネシオロジーテープ(38mm)20cm×2枚
● キネシオロジーテープ(50mm)20cm×1枚
※長さは目安のため、適宜調整してください
>> 動画で巻き方をチェック!(外部サイトにリンクします)
https://www.youtube.com/embed/g31GViTN5cE
長時間歩くなどして、足裏や土踏まずが疲れやすい方には、疲労を軽減できるテーピングがおすすめ!
● キネシオロジーテープ(50mm)20cm×3枚
※長さは目安のため、適宜調整してください
>> 動画で巻き方をチェック!(外部サイトにリンクします)
https://www.youtube.com/embed/JRoPZHj4HqM
・キネシオロジーテープやホワイトテープなど、テープの種類を確認して適切なものを使用しましょう。
・シワやたるみがあるとテーピングの効果が薄れるため、しっかりと伸ばして巻き(貼り)ましょう。
・テープがはがれないように、部位(患部)の体毛をできるだけ剃ってから巻きましょう。
※摩擦が起きやすい(皮膚が弱い)くるぶしなどの部位は、保護のためにワセリンなどを塗ってから巻くとかぶれにくくなります!
もしものケガに備える!覚えておきたい「RICE処置」
運動中に捻挫や打撲になった場合は「RICE処置」が有効です。手順を確認して、もしもの場合に備えておきましょう!
● RICE処置とは?
「RICE処置」とは「Rest(安静)」「Ice/Icing(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(拳上、持ち上げる)」の頭文字をとった基本的な応急処置のことで、内出血や腫れ、捻挫、打撲など様々なケガに対応できます。適切に処置を行うことで、痛みの緩和や早期の回復に期待できます。
患部に体重がかからないよう、動かさないようにして安静に保ちます。
氷を入れたビニール袋や氷のうで患部を冷やし、炎症を抑えます。この時、タオルなどの上から冷やして、患部に直接氷を当てないようにしましょう。
患部をテーピングで圧迫し、保護します。圧迫が強すぎると血流の悪化につながるので、手・足先の色をチェックしながら行います。
患部を心臓よりも高い位置に持ち上げ、固定します。
RICE処置はあくまで応急処置です。テーピングはCompressionのタイミングで行いますが、症状によってはRestのタイミングで行う場合もあるので、臨機応変に対応しましょう。また、RICE処置の後も痛みが強い場合や症状が緩和されない場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
テーピングの起源は諸説ありますが、約150年前の南北戦争と言われています。当時、負傷した兵士の患部を梱包用のテープで固定したことが始まり。その後アメリカンフットボールからスポーツの分野に応用され、ケガの応急処置や予防、再発防止に重要な役割を果たす技術となりました。
テーピングは覚えておくとウォーキングのみならず様々なスポーツや日常生活でも役に立つ技術です。みなさんも日頃から練習・実践してみてはいかがでしょうか。
2023年3月公開