すこやかコラム 第41回
喉が渇く前に飲む!「正しい水分補給」を実践しよう
晴れた日が続き、ウォーキングやランニング、マリンスポーツなど、様々な運動を楽しんでいる方も多いはず。ですが、ついつい楽しくなり、水分補給を忘れてはいませんか?
「喉が渇いていないから大丈夫」「汗をかくまで運動していないから」と思うかもしれませんが、水分補給は命を守る大切な行動です。
今回は、運動時における水分補給の必要性や水分のはたらき、適切な水分補給の方法などを詳しく解説します!
※新型コロナウイルス感染防止のために必要なことや周囲の人にもご配慮いただいた上で、安全・安心にウォーキングに取り組んでください。
新型コロナウイルス感染対策 スポーツ・運動の留意点と、運動事例について(スポーツ庁)
水分の3つのはたらき
体内の水分には大きく分けて3つのはたらきがあり、見えないところで人間の体調管理を行っています。
水分が不足するとそれぞれのはたらきが鈍くなり、脱水症状を引き起こす原因になります。運動をして汗をかくと、多くの水分が失われるため、適切な水分補給が必要です。
運動強度と水分摂取量の目安
水分補給の目安となる水分量は、運動の種類や強度(METs※1)によって異なります。国立健康・栄養研究所「身体活動のMETs表」(2012年4月11日改訂版)によると、例えば、ウォーキングは3.5METs、2022年6月の当コラム記事「天気なんて気にしない!雨の日に楽しむ運動アイデア」で登場した水中ウォーキングは4.5 METs。METsが高いと失われる水分量も多いので、特に積極的な水分補給が必要です。
- ・デスクワーク(1.5)
- ・ヨガ・ストレッチ(2.5)
- ・犬の散歩(3.0)
- ・ウォーキング(3.5)
- ・軽い筋トレ(3.5)
- ・自転車(4.0)
- ・ゆっくり階段を上る(4.0)
- ・水中ウォーキング(4.5)
摂取量 | タイミング | |
---|---|---|
運動前 | 250~500ml (コップ1杯~ペットボトル1本分) |
約30分前 |
運動中 | 1回につきコップ1杯分程度、 合計で500~1,000ml |
1時間に3~4回 |
運動後 | 運動中に失った水分(汗) ※2の1.5倍 |
何回かに分けて |
※1 METsは運動や身体活動の強度を表す単位。安静時を1としたとき、比較して何倍のエネルギーを消費するかを示したもの。
※2 1時間あたりの発汗量(l)=(運動前の体重(kg)-運動後の体重+補給した水分量(l))÷運動時間(h)
水分補給≠水を飲む!必ず「ミネラル」も一緒に
運動する際の水分補給は、運動前・運動中・運動後のそれぞれで、適切な量・回数を補給しましょう。
このとき、「水分補給=水を飲む」ことではない点に注意です。発汗で失われる水分にはミネラル(ナトリウムなど)が含まれています。水だけを飲むと一時的に喉の渇きは解消されますが、体内のミネラル濃度が薄まることで排泄などが促されて、かえって水分不足になる可能性があるのです。
大量に発汗する夏やMETsの高い運動時は、ミネラルや糖質がバランスよく含まれたスポーツドリンクがおすすめです。コーヒーやお茶といった利尿作用が高いもの、ジュースなどの糖質が多いものは適していないので避けるようにしましょう。
スポーツドリンクは、家にある材料でも簡単に作れます。
自家製スポーツドリンクの作り方
1Lの水に対して、ティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖(3~4g)を1~2個入れて混ぜる。
※甘さは好みで調整してください。
水分は足りている?簡単セルフチェック
脱水症状はなかなか自覚しにくいもの。そこで簡単なセルフチェックの方法をご紹介します。ぜひ覚えておきましょう。
【手の皮膚をつまむ】
【親指の爪の先を押す】
【尿意・尿の色】
【体重測定】
「水分補給=水分+ミネラル補給」は、喉の渇きを潤すだけでなく、命を守るための大切な行動です。運動やウォーキングの際には、適切なタイミングや摂取量を意識して、しっかりと水分補給を行うようにしましょう。
夏場などの熱中症対策には、飲みやすく、胃腸への負担がかかりにくい温度を意識しましょう。体への吸収が速く、効果的にクールダウンしてくれる5~15度が効果的です。特に夏の常温は20度を超えてしまうので注意が必要です。
2022年8月公開