すこやかコラム 第29回

すこやかコラム 第29回
ゆったり動く「スローウォーキング」でじっくり“遅筋”を鍛えよう!

ゆったり動く「スローウォーキング」で
じっくり“遅筋”を鍛えよう!

在宅機会が増え、気分転換にウォーキングを始めてみたものの、日頃の運動不足から、なかなか長時間歩くのはきつい、という方は少なくないはず!実はその原因、筋肉と姿勢にあるかもしれません。

今回は、「スロートレーニング(スロトレ)」をウォーキングに応用して、持久力などを高める「遅筋」を効果的に鍛える「スローウォーキング」をご紹介します。またインドア派の編集部員2名が「スローウォーキング」に挑戦したリポートもお届けします。

セクション01

低負荷なのに効果抜群のトレーニング「スロトレ」とは?

まずスロトレとは、どういうものなのでしょうか?スロトレは、呼吸を意識しながら軽い負荷をかけ、ゆっくりとした動作で筋肉に刺激を与え続けるトレーニングのことで、「低負荷トレーニング」とも呼ばれています。
バーベルやダンベルなどを使う「高負荷トレーニング」をしなくても筋力の強化に期待できるため、年齢や性別を問わず気軽に行えることが魅力です。

スロートレーニングの例
スロートレーニングの例

次に遅筋について、見ていきましょう。一般的に人間の筋肉には「速筋(アウターマッスル)」と「遅筋(インナーマッスル)」の2種類があります。

速筋(そっきん)
遅筋(ちきん)

遅筋には、体幹の安定をもたらす「腹横筋(ふくおうきん)」や直立姿勢を保つために作用する「ヒラメ筋」といった、人体の諸機能をコントロールする様々な筋肉があります。スロトレではこれらを効果的に鍛えることができます。

セクション02

気軽にできるスローウォーキングで持久力を高めよう!

「有酸素運動」であるウォーキングは、酸素をエネルギー源とする遅筋の働きによって心肺機能の向上に効果があります。つまり、遅筋を鍛えることが持久力アップのカギにつながります。

そんな遅筋を鍛えられるスロトレをウォーキングに取り入れた「スローウォーキング」では、それぞれのメリットが相乗的に働き、より疲れにくい、持久力のある体づくりが期待できます。

では、スローウォーキングの方法を見ていきましょう。

気軽にできるスローウォーキングで持久力を高めよう!
  • 背筋を伸ばしまっすぐ立つ 顎を引く、目線を正面にするなど正しい歩き姿勢※の準備を行いましょう!
  • 腹筋を意識し、3秒で息を吸いながらゆっくりと膝を上げる 呼吸に合わせて脚や腕などを動かしましょう!
  • 3秒で息を吐きながら、かかとからつま先へと足裏全体ゆっくりと着地する 肘を軽く曲げ、大きく腕を振りましょう!
  • 2~3の動作を繰り返すだんだんと姿勢が崩れないよう注意しましょう!

参考文献:長瀬サエコ(2016)「たった6歩で寝たきり 腰痛 ひざ痛を防ぐ スローウォーキングDVDブック」アスコム

スローウォーキングは、スロトレの基本である「呼吸」「軽い負荷」「ゆっくりとした動作」を意識しながら、正しい歩き姿勢で行います。

一般的な歩行速度の半分以下となる時速1~2km程度の速度でゆっくり歩きましょう。これは、負荷をかけながら筋肉を刺激し続けるだけでなく、速く歩きすぎて呼吸が乱れないようにするためでもあります。

※正しい歩き姿勢についてはこちらの記事をご覧ください。
いつでも、どこでも、誰でもできる! 健康のためにウォーキングをはじめよう

セクション03

編集部員が「スローウォーキング」をやってみました!

やってみると意外に難しい「スローウォーキング」。普段は家で過ごすことが多いというインドア派の編集部員2名がチャレンジしました。

運動したいけど面倒くさがりの 編集部員A がチャレンジ!運動したいけど面倒くさがりの 編集部員A がチャレンジ!
歩いた場所 自宅の廊下 歩いた時間 約5分間歩いた場所 自宅の廊下 歩いた時間 約5分間
  • 良かったこと

    3秒で膝を上に持ち上げて、また下げるという動作がかなり太ももに効きました。5分間がかなり長く感じて、これだけでもかなり運動になりました。

  • 効果

    遅筋が鍛えられているかどうかは1回ではわかりませんが、運動習慣がない私でも簡単で負担が少なく、続けてみたいなと思いました。

  • 気をつけたいこと

    外が暑すぎたため、自宅の廊下でチャレンジにすることに。転ばないように物を片付けて、滑りにくい靴下を履きました。

趣味はゲームやプラモデル作りの 編集部員O がチャレンジ!趣味はゲームやプラモデル作りの 編集部員O がチャレンジ!
歩いた場所 近所の公園 歩いた時間 約20分間歩いた場所 近所の公園 歩いた時間 約20分間
  • 良かったこと

    同じ時間、普通に歩くより体への負荷が少ないので、続けやすいと感じました。その点で普段あまり運動しない方や関節痛など体の不調で激しい運動が出来ない方にも向いているのではないかと思います。

  • 効果

    効果は複数回継続してみないとわかりませんが、今回20分ほど実践してみてスローとはいえ同じ動きを繰り返すことで、じわじわと筋肉に効いているなという感じはありました。

  • 気をつけたいこと

    動きがゆっくりになる分、歩く際の姿勢は特に意識しながら行いました。

3秒かけて膝を上げて、3秒かけて膝を下ろし、なおかつ手を振って歩くという動作が意外と難しく編集部員Aは、慣れるまで「1,2,3」とカウントしながら歩いたそうです。リズムをつかんだら、呼吸も意識できるようになり上手に歩けるようになったとのこと。このように自分のやりやすい方法を見つけて、チャレンジしてみてください!

まずはウォーキング中の一部の時間、5分程度でも「スローウォーキング」を意識してゆっくりと体を動かす習慣を身に付けてみましょう。慣れてきたら段々と時間や距離などを伸ばしていくと良いでしょう。

また、スローウォーキングの際、こまめに水分補給をするようにしましょう。部屋の中を歩く時は、転んだりしないよう十分に気をつけて行ってください。

豆知識
ヒラメは速筋で、カツオは遅筋?筋肉の不思議

ヒラメは速筋で、カツオは遅筋とは、いったいどういうことなのでしょうか?それは魚の暮らしぶりからうかがい知ることができます。

季節や成長に合わせて広い海を移動するマグロやカツオは、遅筋を多くもつ魚です。長距離を移動するこれらの魚は持久力が必要なため、遅筋が多いと言われています。

一方、ヒラメやカレイは海底で身を潜め、獲物を素早く狙います。そのため、瞬発力が必要な速筋が多いと言われています。

ちなみにカツオやマグロが赤身なのは、遅筋に多く含まれているミオグロビンというタンパク質が赤い色をしているためです。そのため、遅筋は別名「赤筋」とも呼ばれています。ヒラメやカレイが白身なのは、このミオグロビンが速筋にはあまり含まれていないためです。速筋は白っぽい色をしているため、「白筋」と呼ばれています。

2021年8月公開

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