すこやかコラム 第11回
寒さで肩や腰がガチガチ?!
冬のコリは皮膚体操で解消しよう
冬は寒くて動くのが億劫になりがち。肩や腰がコリ固まって動きが鈍くなると、ケガもしやすくなります。たっぷり寝てもお風呂に入ってもおさまらないコリや疲れは、皮膚を動かして血流やリンパを流す「皮膚体操」で解消しましょう。
コリやすい人の特徴
コリやすい人の特徴は「パソコンやスマートフォン、運転など長時間同じ姿勢でいる」「猫背で姿勢が悪い」「運動不足」などがあげられます。ずっと同じ姿勢でいると、首を支えようとして、首・肩の筋肉が疲労し、コリの原因となります。集中したり、寒さなどで筋肉は固まりやすく、血流が悪くなることも原因としてあげられます。また、湯船につからずシャワーだけですませてしまうのも、体が冷えやすくなり、コリを感じやすくなります。
コリや疲れの原因は「皮膚のゆがみ」
冷えや寒さで首・肩・腰までこわばって、毎日すごく疲れるという人も多いでしょう。病気ではないのに調子が悪い原因は、現代人が抱える「冬のコリ」「冬の疲れ」かもしれません。
体のコリは、血流が悪くなって老廃物が流れにくくなるという体の内部の不調が関係しています。歩き方、座り方、立ち方、食べ方など、長年の生活習慣で体に「ゆがみ」が定着している場合はとくに体のコリを招きやすいので要注意です。そのなかでも今回着目したいのが「皮膚のゆがみ」です。
皮膚のゆがみとは、皮膚の下にある薄い組織膜「筋膜」のゆがみのことです。筋膜は、筋肉を包んで保護したり体の動きに合わせて伸びた筋肉を元の形に戻したりする働きがあります。体の一部に負担がかかる姿勢や動きを毎日続けると、筋膜が自然に動かずアンバランスな状態になり、肩や腰のコリにつながります。ゆがんだ筋膜で血管やリンパが圧迫され、血流が滞ってしまうからです。
筋膜は全身につながっているので、一部に生じた筋膜の異常がほかの筋肉の動きに影響し、筋力や柔軟性の低下といった症状が現れます。これが、コリや痛みの原因になります。
コリを解消できる「皮膚体操」とは?
皮膚のゆがみと関係する筋膜を動かすことで、体のコリを改善するのが「皮膚体操」です。肩、腰、背中に痛みやコリを感じる人は、痛みのある皮膚を動かすことで筋膜をずらし、筋肉をほぐし、血流や酸素の流れを良くして症状を改善できます。
皮膚体操は、朝起きたときと寝る前に行うのが効果的。ポイントは、手を早く動かしすぎないようにゆっくりしたリズムで行うこと、リラックスして深呼吸しながら行うことです。
また「皮膚を動かす」といわれても感覚がわかりにくいかもしれませんが、手の甲に指でしわを作ってみると、皮膚が動く感覚をつかみやすいです。
- ① 髪の生え際に指先を当てる
- ② 頭皮を上に押し上げる動きを10回繰り返す
- ③ 10回目の時、頭皮を押し上げたまま10秒間キープ
- ①~③を3セット繰り返す
- ●呼吸は止めずに、自然な深呼吸を心がけましょう
- ●肩に余分な力が入らないよう、ひじは開かないようにしましょう
- ●頭の皮膚にしわを作るイメージです
- ① 指先を肩の付け根あたりに当て、胸の皮膚を斜め上に引き上げるように動かす
- ② 皮膚を引き上げながら、腕を前から後ろへゆっくり10回まわす
- ③ 10回目の時、皮膚を引き上げたまま10秒間キープ
- ①~③を3セット繰り返す
- ●1秒間に1往復のリズムを意識しつつリラックスして行いましょう
- ●皮膚を押し上げるだけでも効果があります
- ① 椅子に座ってつま先をそろえる
- ② 手をうしろに回して、ベルト位置が来る腰の部分に手を当てる
- ③ 腰の皮膚を上下に10~20回動かす
- ●上半身の力を抜いてリラックスした状態で、腰の皮膚を動かしましょう
- ●手がうしろに回せない場合は、お腹の皮膚を左右に動かしても効果があります
冬は普段よりも体の動きが鈍くなりがちです。同じ姿勢でいると筋肉を硬直させてしまい、不意な動きで肩や腰を痛めてしまうことも。日々の生活のなかで簡単にできる皮膚体操で、こまめに皮膚や筋肉を動かして健康な体作りを目指しましょう。
湿布はコリの対処法として手軽で便利なもの。症状に応じた湿布の選び方や使い方をご紹介します。
まず湿布には、患部に刺激を与えるカプサイシンが配合された「温湿布」と、清涼感を与えるメントールが配合された「冷湿布」の2種類があります。この2種類を症状によって使い分けましょう。
<湿布の選び方>
■捻挫・打撲した時(急性症状)
捻挫や打撲等の急性症状時は、患部が熱を持っている状態です。冷やすことで炎症や痛みを和らげることができるので、「冷湿布」がおすすめです。
■肩こり・腰痛がひどい時(慢性症状)
重だるく続くような肩こりや腰痛は、温めることが効果的といわれています。「温湿布」を使って筋肉の緊張を和らげることで症状を改善できます。ただし温湿布には筋肉や関節の温度を劇的に変えるような作用はないため、貼ったときの心地良さや患部の炎症の状態を見て、体に合った湿布を選びましょう。
<湿布の使い方>
■貼るタイミング
血行がよくなるお風呂上がりが効果的。湿布を貼ったところから薬剤が浸透して痛みをとるので、筋肉がより和らぎます。
■剥がすタイミング
薬剤は約4時間ほどで血中に行き渡り、その後はゆるやかに効果が薄れていくため、貼ってから5時間後くらいに剥がすのがよいでしょう。
<注意点>
■長時間の使用はNG
長時間貼ったままだと、皮膚がかぶれてしまう恐れがあります。皮膚刺激成分が配合されているため、皮膚の弱い方や、二の腕などの皮膚の薄いところは注意してください。同様に剥がしてから1時間程度は入浴も避けることをおすすめします。
2020年1月公開
出典:
・「首こりは万病のもと」松井孝嘉 著(幻冬舎)
・体のコリがとれない原因は“皮膚・アゴ・骨盤のゆがみ”(株式会社光文社)
・筋膜リリースの効果と方法(公益財団法人長寿科学振興財団)
・皮膚体操の科学(所さんの目がテン!)
・寒い冬は「皮膚体操」で体をほぐす(NIKKEI STYLE)
・冷感も温感も!湿布の選び方や使い方(株式会社ココカラファイン)
・冷シップと温シップの違いは何?(八王子薬剤センター)