すこやかコラム 第10回
健康の秘訣は善玉菌にあり!?
腸内環境の改善に効果的な食材や運動
寒くなる季節の体調管理方法として、腸内環境の改善が注目されています。風邪などを予防するには、腸内環境の見直しは大切です。腸内細菌の種類と働き、腸内環境が整っている状態とは?善玉菌を増やす食品と運動についてご紹介します。
まずは自分の腸年齢をチェック!
寒さが増して体調を崩しやすくなる季節。腸内環境を整えることで免疫力がアップし、風邪を引きにくくなります。腸内環境の改善についてご紹介する前に、今の腸年齢をチェックしてみましょう。
健康な腸内環境とは?
ヒトの腸には100種類以上の細菌が生息しています。小腸から大腸にかけて、お花畑のように群生していることから「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラを構成する腸内細菌には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類があり、バランスを取りながら腸内環境を維持しています。それぞれ体へ与える影響などが異なります。
悪玉菌よりも善玉菌が多いことがバランスのとれた腸内環境ですが、過度なストレスや極端なダイエットなど生活環境の乱れが原因で腸内環境が悪化すると、さまざまな症状や病気を引き起こします。
・集中力の低下、不眠症・イライラ、抑うつ
・免疫力低下、風邪、慢性疲労、口内炎、口臭・体臭
・下痢・便秘、過敏性腸症候群、生活習慣病
・肌荒れ、老化が進む、冷え
腸内環境を整えるためには、日々の食生活を見直し、善玉菌を増やすことが大切です。
腸内環境を整えるおすすめの食品とは?
善玉菌を増やす発酵食品などを積極的に摂ることで、腸内環境を改善することができます。毎日の食事に取り入れやすいおすすめの食品とレシピを見ていきましょう。
ヨーグルト |
善玉菌を構成するビフィズス菌が豊富です。オリゴ糖入りならビフィズス菌のエサになり、腸内で良い発酵をしてくれるので、オリゴ糖を多く含むバナナにヨーグルトをかけて食べるのもおすすめです。 |
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納豆・キムチ |
納豆菌は、生きたまま腸に届く善玉菌「プロバイオティクス」を含んでいます。大豆には食物繊維が豊富なので、排便を促します。納豆菌は乳酸菌と相性が良いので、乳酸菌を含むキムチと一緒に食べるとより効果的です。 |
チーズ |
プロバイオティクスの乳酸菌が豊富。女性が悩む便秘の改善や整腸作用によるガン予防に効果があります。 |
味噌 |
食物繊維が豊富な大豆を発酵させた味噌は、整腸作用に優れています。さらに味噌に含まれるオリゴ糖は善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えます。 |
整腸作用を促す味噌と、善玉菌のえさになる麹からできる甘酒を使った鍋料理をご紹介します。身体を温める効果のあるしょうがも使っているので、冷え性の方にもおすすめです。また、米麹甘酒、味噌、おろししょうがをお好みの分量で混ぜたものは野菜スティックや豆腐のたれなどにも使えます。
【作り方】
(1)白菜はざく切り、厚揚げ・豚肉は小さめに切る。長ねぎは斜め切りにする。
(2)鍋に★Aを入れて煮立てる。白菜、厚揚げ、豚肉入れてひと煮立ちさせ、長ねぎを加える。
(3)豚肉に火が通り、野菜が柔らかくなったらお好みで針しょうがをちらす。
腸内環境を良くするための運動
腸の動きを活発にするには、運動をすることも不可欠です。運動をして腸に刺激を与えて腸を活発に動かすことで、腸内環境の改善につながります。今回は腸のぜんどう運動を促進する「お腹しぼりエクササイズ」をご紹介します。お腹と肛門をぎゅっとしぼることがポイントです。
(1)足を肩幅分広げて、まっすぐ立つ。あばら骨の下を両手でつかみ、大きく息を吸う
(2)お腹をぎゅっとしぼるようにして息を吐き、体を前に倒す
(3)へその真横、骨盤の上あたりに両手を載せて(2)の動きをして、それぞれ8セット行う
「お腹しぼりエクササイズ」は室内でできる運動ですが、天気が良い日は、ウォーキングを楽しみましょう!ポイントは、背筋を伸ばし、お尻の穴を締めて歩くことです。肛門括約筋を鍛える効果があります。ウォーキング時の正しい姿勢やシューズ選びのポイントはこちらをチェックしてみてください。
鍋レシピにも登場した甘酒には「米麹で作った甘酒」と「酒粕で作った甘酒」があります(レシピでは米麹の甘酒を使用)。その違いはご存知ですか?
<米麹甘酒>
蒸したお米と麹でできています。砂糖不使用のため、離乳食や砂糖の代わり、隠し味的にも使えます。カロリーも控えめです。
<酒粕甘酒>
酒粕と砂糖でできているため、アルコールを含みます。カロリーはやや高めですが、栄養価もとても高いです。
このように主な違いは原料と、アルコールの有無になります。ダイエット効果や美肌効果があるとして注目をされているのは米麹甘酒ですが、酒粕甘酒も同様に健康と美容にさまざまな働きがあることがわかっています。
飲みやすさなら米麹甘酒、香りがいいのは酒粕甘酒、と言われていますので、お好みで飲み比べてみてはいかがでしょうか。
2019年12月公開
出典:
・「腸内環境学のすすめ」辨野義己 著(岩波書店)
・大切な腸内環境コントロール(セコム健康くらぶ)
・代表的な腸内細菌(大塚製薬株式会社)
・健康と腸内環境(ミチワクリニック)
・腸内環境治療(エミーナジョイクリニック銀座)
・毎日の食事に取り入れたい腸内環境を整える発酵食品のススメ(株式会社ルネサンス)
・冬の風邪予防 ~免疫力は腸内環境から~(文部科学省後援 健康管理能力検定)
・腸の働きを活発にして自律神経を整えよう!(NHKらいふ)
・甘酒の正しい飲み方とは?飲み過ぎには要注意!?健康効果・効能も徹底解説(かわしま屋)